畜産の情報−トピックス−2008年3月 月報海外編

2017年度までの農業予測を公表(ブラジル)


今後10年間の主要農畜産物の需給動向を予測

 ブラジル農務省(MAPA)は2008年1月、2017年度(7月〜翌年6月)までの農業予測を公表した。この予測は、今後10年間における穀物および畜産物などブラジル国内における主要農畜産物の需給動向が示されたものであり、今後、農業分野に関する議論が行われる際、指標の一つとして活用されることとなる。


品目別の動向

 (1) トウモロコシ
 2017年度の生産量は、作付面積および単収の増加により6,412万トンと予測している。食肉生産量の増加により、飼料用の国内需要量も増えるものの、輸出量も1,204万トンとアルゼンチン並になると予測している。

 (2) 鶏肉
 今後、国内需要量の増加率が最も高い食肉と見られており、2017年度の生産量は1,441万トンと予測している。一方、輸出量の増加率は他の食肉に比べ、低いと予測している。

 (3) 牛肉
 中東やロシアなどでの牛肉需要の高まりにより、輸出量は約2倍に増加し、国内需要量も増加することから、2017年度の生産量は1,398万トンと予測している。

 (4) 生乳
 ヨーグルトの国内需要量の伸びなどにより、2017年度の生産量は3,309万キロリットルと予測している。

 (5) エタノール
 需給情勢に合わせて20〜25%の間でガソリンへのバイオエタノールの混合が行われているが、エタノール燃料でもガソリンとエタノールの混合燃料でも走行可能なFFV車の普及により、国内需要量はさらに高まり、また輸出量も2倍以上に増加すると予測している。このため、サトウキビの作付面積が1,027万ヘクタールと大きく拡大すると予測している。


畜産物やバイオ燃料の需要の拡大を見据えた農業振興

 農業予測をみると、
 (1) サトウキビの作付面積が大きく拡大すると予測されている。サトウキビの作付適地であるブラジル南部を中心に、今後も草地などからのサトウキビへの転換が続くと見ていると考えられる。

 (2) 牛肉および豚肉の輸出量の増加割合は、鶏肉に比べ大きいと予測されている。この実現のためには、家畜衛生対策の的確な推進により口蹄疫などの家畜疾病が発生しないことが必要となると考えられる。

 また、バイオディーゼルの需要拡大などを見込んだ大豆、輸出の増加を見込んだ綿なども生産量の大きな増加を予測しており、畜産物やバイオ燃料などの需要の拡大を見据え、ブラジルでは今後の国内農業の振興を図っていくことになると見られる。

 

ブラジルの2017年度の農業予測


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