ALIC/WEEKLY


米国の酪農家戸数、引き続き減少


 【デンバー駐在員 堀口 明 11月14日発】 米国最大の農業生産者団体で
あるアメリカン・ファーム・ビューロー・フェデレーション(AFBF)が実施
した調査によれば、96年の米国の酪農家戸数は、対前年比で5.3%減少し、
10万6千戸余りとなった。酪農家戸数の減少率は、調査開始の92年以来、5
%台の減少が続いている。

  AFBFの調査結果によれば、96年の米国の酪農家戸数は106,045戸
となり、前年調査と比べ5.3%、5,887戸の減少となった。AFBFが調
査を開始した92年以降の酪農家戸数は、92年が13万2千戸、93年が12
万5千戸(対前年比5.0%減)、94年が11万8千戸(同5.8%減)、
95年が11万2千戸(同5.0%減)、となっており、毎年5%台の減少が続
いている。

  酪農家戸数を地域別に見ても、すべての地域で減少しており、酪農家戸数の最
も多いウイスコンシン州で5.1%減の25,526戸、生乳生産量の最も多い
カリフォルニア州でも8.6%減の2,178戸となっている。(表参照)
AFBFでは、この減少の要因として
@乳価の低迷、A飼料費を中心とした生産コストの増大、B高齢化によるリタイ
ア、の3点を挙げている。

  このように、酪農家戸数が減少する中で、乳牛の飼養頭数は、毎年1%以下と
小幅な減少にとどまっており、飼養規模の拡大が進んでいる。この報告では、
96年の1戸当たりの乳牛平均飼養頭数は、84頭とされている。

  また、生乳生産量は、乳牛1頭当たりの泌乳量の増加により増産傾向で推移し
ているため、一般には、酪農家戸数が減少していることがあまり知られていない
と指摘している。

  地域別酪農家戸数

  地域・州  95年  96年  対比(%)
  中西部   67,355  63,762  -5.3
  (ミネソタ) 11,817  10,970  -7.2
  (WI)    26,887  25,526  -5.1
  西部     6,541   6,144  -6.1
  (CA)     2,383   2,178  -8.6
  (アイダホ)  1,156   1,111  -3.9
  北東部    25,797  24,808  -3.8
  (PA)   12,000  11,417  -4.9
  (NY)     8,913   8,742  -1.9
  南部     12,239  11,331  -7.4
  (KY)     2,731   2,526  -7.5
  (テキサス)  1,880   1,667  -11.3
  全米計   111,932  106,045  -5.3
    注:WI、CA、PA、NY、KYは、それぞれ、ウイスコンシン、カリフォルニア、
        ペンシルバニア、ニューヨーク、ケンタッキーを表す。

  96年農業法によって示された価格支持水準の切り下げやミルク・マーケテイ
ング・オーダー制度の再編、さらに、今後予想される国際競争の激化は、酪農家
戸数のみならず、生産地域分布や生産形態など、米国の酪農生産構造にこれまで
以上の変化をもたらすものと考えられる。


元のページに戻る