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【ブラッセル駐在員 池田 一樹 9月18日発】デンマークでは、オーガニック ミルク(以下「"オ"ミルク」)の生産が大幅に増加している。95年の生産量8万 5千トンに対して、96年は約5割増加し、12万5千トンとなった。"オ"ミルク 製品の売れ行きは好調で、今後も一層の生産増加が予測されている。 "オ"ミルクの生産量は、全生産量から見ると約2%に過ぎないが、最近大幅に増加 している。生産者数も増加が続いており、96年では325戸(総戸数約1万6千戸) となっている。 "オ"ミルクの生産量 単位千トン 年度 86 91 92 93 94 95 96 生産量 1 18 33 39 47 85 125 生産量の増加は今後も確実で、全国集乳シェアの約8割を有する2大農協プラン トのMDフーズ社とクローバー社は、今年から来年にかけて"オ"ミルクの生産契約 農家を約60戸増加し、契約量も9万トンから11万5千トンに増加する予定であ る。"オ"ミルクは飲用向けから発酵乳、バター等の乳製品まで幅広く使用されてい る。なかでも飲用乳市場の10%以上は"オ"ミルクであるとされ、成分無調整牛乳 だけでなく、脱脂乳や低脂肪乳としても販売されている。 "オ"ミルクの生産販売については、関連規則が定められており、農務省が管轄し ている。規則の概要は以下のとおりである。なお、EUにおける統一基準はまだ検 討段階である。 1オーガニック農場への転換 農薬や化学肥料を使用せずに飼料用作物や牧草を生産。自作地の場合、転換開始 後1年で認可。その他の場合、2年で認可。 2飼養管理条件 @全飼料中に占めるオーガニック飼料の割合(エネルギー換算)は、転換直後の2 年間は75%、その後は85%。 A肉骨粉、動物性油脂は使用しない。ただし、2ヵ月齢までは代用乳の使用可。 B抗生物質、成長促進剤、遺伝子組み替え作物、アンモニアなどの飼料添加は禁止。 C最低150日間/年は放牧。畜舎内では常に運動が可能であること。 D休薬期間は、通常の3倍。 3検査:当局検査官が定期的に実地検査 4"オ"ミルク製品 @生産者と乳業者は当局に登録 A5%以内の範囲で添加物の使用可 飼料生産に化学肥料などの使用を取りやめることで、収量が1/3程度減少すると 言われている。それでも"オ"ミルク生産へ転換する理由の一つには、高い生産者価 格が挙げられる。MDフーズの"オ"ミルク基本乳価は、通常乳価の2割増しで、需 要次第でさらに5%程度の割り増しが行われている。また、中小乳業では35%増 しで取り引きしている例もある。 目下、"オ"ミルク製品は好調な国内市場向けである。しかし関係者は、生産量次 第では、輸出市場の開拓にも意欲を見せている。
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