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【ブラッセル駐在員 池田 一樹 4月9日発】 EUの牛肉諮問委員会は3月末、 本年および来年の牛肉需給の見通しを取りまとめた。これによると、生産が引き続 き減少する中、消費量は緩やかに回復するものと見込まれている。また、在庫の大 幅な減少が見込まれ、これらの結果、価格はおおむね堅調に推移するものと見込ま れている。 EUの牛の飼養頭数は、昨年から減少傾向に転じている。特に、2歳以下の雄牛 の減少が大きい。雌牛も、乳用雌牛を中心に全体として減少しているが、繁殖雌牛 では若干の増加が見られている。減少傾向は本年および来年ともに続くものと見込 まれ、牛肉生産量も本年、来年ともに減少すると見込まれている。一方、消費量は 昨年に続き、本年、来年ともに緩やかな回復が見込まれている。また、一昨年3月 に牛海綿状脳症(BSE)問題が再燃してから急速に積み上がった介入買い上げ在 庫について、本年14万トン、来年25万トンの減少を見込んでいる。本年は5万 トンの買い上げも見込んでいることから、合計19万トンの売却が必要となる。な お、本年1月は買い上げ6千トンに対して、売却が9千トンとなっている。 EUの牛肉需給見通し (単位:万頭o万トン) 年次 1997 1998 1999 頭数 8451 8308 8250 生産量 787 760 747 輸入量 38 40 40 輸出量 94 90 84 在庫量 63 49 24 消費量(1人当り) 712(19.1kg) 724(19.4kg) 728(19.5kg) (注)1人当たり消費量:95年20.1kg、96年18.6kg 介入在庫については、EUはこれまでの態度から一転して、本年から輸出用への 売却を開始した(輸出補助金対象外)。これまで北アフリカ、中近東、旧ソ連圏向 けに2回の入札が行われ、5千トンが売却されている。さらに、6月末締め切りで、 4万トンの入札を発表している。 介入在庫の輸出用売り渡し入札結果 (単位:トン) 入札日 2月9日 3月9日 入札 落札 入札 落札 骨付き 7250 120 19250 4700 骨抜き 2000 120 2000 140 落札価格は、骨付きで110ECU/100kg(約1万5千円)程度となっている。買 い上げ時の価格が約260ECU/100kg(約 3万6千円)であり、当該地域は、 骨付き牛肉の輸出補助金の対象となっていないことを加味すると、売買差額は ▲150ECU/100kg(約2万円)となる。 牛肉価格は、やはりBSE問題再燃以降、大幅な落ち込みを見せたが、昨年から 現在にかけて回復を見せており、本年も前年を上回るものと見込まれている。 牛肉価格見通し (単位:ECU/100kg) 年次 1997 1998 1999 価格 269.67 277.48 275.32 介入価格比* ▲3% ▲0.2% ▲1.0% *介入買い上げトリガー価格比(介入価格347.5ECU×0.8)
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