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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 4月9日発】米農務省(USDA)は4月2日、 農産物の価格変動などに伴うリスクを軽減するため、家族経営に対する安全保障 (セーフティネット)措置を改善する一連の対策を発表した。これら一連の対策は、 99年度の穀物生産から適用されるとしている。 96年農業法は、農家に対して、市場のシグナルに応じて穀物を生産するよう奨 励している。この結果、農家の生産する穀物の組み合わせは変化しつつあり、農産 物の価格変動などに対するリスク管理の必要性も高まっている。 穀物保険制度についても、穀物生産を取り巻く状況の変化に対応した制度の見直 しが必要となっている。USDAは、このような選択的穀物生産に係る保険需要に 応えるため、保険がより迅速に利用可能となるよう、手続きおよび規則の更新を行 うとしている。 従来、USDAは、穀物保険制度の健全な運営を図るとともに、保険料の全体的 な上昇を避けるため、他の農家に比べて著しくかけ離れた損害実績を有する農家の 保険料の調整を目的として、非標準分類システム(NCS)といわれる手続きを用 いてきた。 しかしながら、実際には、この選択基準では、災害に関連した損失とそれ以外の 地方特有の要因とを明確に区別できないという問題があった。この結果、生産者に よっては、突然、保険料を引き上げられるというケースも生じていた。このため、 将来、NCSに基づく手続きを廃止し、必要が生じたときに緩やかな保険料の調整 を行うという、財政的に健全な手続きに換えたいとしている。 一方、グリックマン農務長官は、農業主産州の議会の代表者らとの会合の席で、 穀物のローンレートの上限を撤廃するとともに、これを過去5年間の平均価格の 85%に戻すという案を支持する旨表明した。しかしながら、既に同農務長官自ら が示唆しているように、ローンレートの変更は、予算の観点から、議会からの厳し い抵抗が予想され、このような案が議会を通過する可能性は極めて低いものとみら れている。 なお、今回の対策には、以上のほか、次のような案が含まれている。@保険を新 しい穀物および新しい地域に拡大することを容易にすること、A農家に対する保護 を強化するためのパイロット・プログラムの開発、BUSDAによる播種妨害保証 の再検討、などである。 また、グリックマン農務長官は、市場価格が低迷している場合に、ローンの支払 期日を延長すること、および第1回目の播種が失敗した場合に、農家に対して播種 の柔軟性を与える権限について、議会からの承認を得たいとしている。
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