ALIC/WEEKLY


集約進むEUの豚と畜業者


【ブラッセル駐在員 井田 俊二 7月30日発】このたび、フランスの養豚技
術協会(The Institut Technique du Porc(ITP))は、97年のEU加盟国に
おける豚と畜業者別と畜頭数並びにEUおよび国内のシェアなどについてとりま
とめた。これによると、加盟国ごとに大きく異なるものの、概して北部加盟国に
おいて少数業者への集約が進んでいる。 

 ITPは、97年のEUにおける豚のと畜業者と畜頭数並びにEUおよび国内
のシェアなどについてとりまとめた。これによると、97年のEUにおける豚の
と畜頭数(全体で189百万頭)のうち、年間百万頭以上と畜している業者は30
業者で、全体のと畜頭数の39%を占めている。さらに2百万頭以上は14業者
で、全体の30%を占めている。年間2百万頭以上のと畜業者は次のとおり。
  と畜頭数 国内比 EU比
  (百万頭) 率(%) 率(%)
Danish Crown(DK) 9.5 47.9 5.0
Demuco(NL) 7.0 37.9 3.7
Vestjyske Slagterier(DK) 5.9 29.8 3.1
Nordfleish(G) 5.2 13.5 2.7
Unigate/Malton-Harris(UK) 3.9 25.0 2.0
Socopa(F) 3.3 12.8 1.7
Meatpoint/Sturko-Jansen(NL) 3.0 16.2 1.6
Nutreco-Murris-Smits(NL) 3.0 16.2 1.6
Westfleisch(G) 2.9 7.5 1.5
Cooperl(F) 2.8 11.0 1.5
Scan(S) 2.7 70.0 1.4
Steff Houlberg 2.7 13.4 1.4
Olympig(F) 2.2 8.6 1.2
Sudfleisch(G) 2.1 5.4 1.1
56.2   29.7
EU合計 189.4   100.0
 (注)表中の国名:デンマーク(DK),オランダ(NL),ドイツ(G)
         イギリス(UK),フランス(F),スウェーデン(S)

 主要国別にみると、デンマーク(97年と畜頭数19.9百万頭)では、80年代から
と畜業者の吸収・合併が活発に行われ、最も集約が進んでいる。このため、年間
百万頭以上と畜している4業者で全体の96%を占めている。オランダ(同15.3
百万頭)では、最近10年来の過剰設備による過当競争で業者の財政問題を招い
たが、95年に20%の余剰設備の削減が行われ、最近では、事業収益が改善し
た。1百万頭以上のと畜は4業者で全体の76%を占めており、今後さらに企業の
合理化、インテグレーションが進むとみられている。スウェーデン(同3.9百万頭)
では、全体のと畜頭数は少ないものの、1業者で70%のと畜が行われており高度
に集約が進んでいる。ドイツ(同38.5百万頭)では、百万頭以上のと畜は4業者で
全体の43%を占めている。大部分の業者では、豚のと畜以外の事業も行っており、
平均と畜規模は大きくない。また、過剰設備および国内豚肉価格の上昇のため事
業収益は高くない。 
             
 フランス(同25.8百万頭)では、百万頭以上のと畜は8業者で、全体の46%を占
めている。スペイン (同29.8百万頭) では、百万頭以上のと畜は2業者で、全体
の8%と低い。イギリス(同15.5百万頭)では、百万頭以上のと畜は1業者で全体
の25%を占めている。

 このように、デンマーク、オランダおよびスウェーデンといった北部加盟国で
豚と畜業の集約度が高く、事業収益もデンマークおよびオランダで高い。

 EUでは、まだ米国のような年間20百万頭規模のと畜業者はみられないが、今
後、事業のグローバリゼーションなどにより一層豚と畜業者の連携および合併等
が進行するとみられている


元のページに戻る