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【シドニー駐在員 藤島 博康 7月31日発】このほど、豪州フィードロット 協会(ALFA)は四半期ごとのフィードロット飼養動向調査の最新結果を公表 した。これによると、98年6月30日時点での飼養頭数は52万2千306頭 と、過去最高となった前回3月末時点を3%下回ったものの、過去の6月期とし ては記録的な高水準となった。 98年6月30日時点のフィードロット飼養頭数は、前年6月期より9%増加 し、6月期の頭数としては記録的な高水準となった。前回3月期調査では、飼料 穀物価格と肥育素牛価格の安値による肥育コストの低下が導入を拡大した要因と して挙げられたが、この傾向は今回調査にも反映したものとみられる。なお、ニ ューサウスウェールズ(NSW)州北部の一部で洪水が発生するなど同州北部を 中心に広範にわたって降雨があり、出荷頭数の減少により、現在、生体市場など での肉牛価格は全般的に上昇基調にある。 (単位:頭)
3月末 | 6月末 | 9月末予測 | |
NSW | 217,116 | 195,965 | 190,442 |
VIC | 50,209 | 41,462 | 24,268 |
QLD | 229,013 | 238,605 | 244,107 |
SA | 23,733 | 26,826 | 23,061 |
WA | 16,629 | 19,448 | 12,105 |
合計 | 536,700 | 522,306 | 493,983 |
日本向け | 310,294 | 309,067 | 307,002 |
韓国向け | 1,042 | 3,865 | 937 |
他輸出 | 10,404 | 24,705 | 28,025 |
国内向け | 214,882 | 178,729 | 149,678 |
州別にみると、豪州南東部のNSW州とビクトリア(VIC)州では、冬場の 増体率低下による導入停滞など季節的な要因に加え、降雨により放牧が進んだこ となどから、前回3月期よりも、それぞれ10%、17%と比較的大きく減少し た。反対に、サウスオーストラリア(SA)州やウエスタンオーストラリア (WA)州では素牛価格が低水準だったことから、導入が進み、前回3月期より も、それぞれ13%、17%とかなり大きく増加した。豪州全体の約半数を占め るクインズランド(QLD)州では、前回3月期よりも4%、前年同期よりも8 %と、小幅ながらも前回3月期に引き続き着実な伸びを示した。 出荷仕向け先別には、日本向けが前回3月期より微減となったものの、前年同 期より15%増加し、30万頭台を維持した。一方、昨年来、ほぼ一貫して増加 してきた国内向けは、前回3月期より17%、前年同期より6%と、それぞれ 減少した。 注目されるのが、日本と韓国以外のその他の輸出市場向けであり、未だ全体5 %とシェアが小さく、その内訳は公表されていないが、ここ1年、着実に増加し ている。今回調査では、前回3月期より2倍以上、また前年同期より3倍近くに まで拡大した。ALFAによると、インドネシアや中国のホテル、レストラン向 けや、EU向け輸出の増加によるとしており、日本や韓国市場以外の新たなグレ インフェッド市場の開拓が進んでいるようだ。 今後についてALFAでは、次回9月期のフィードロット飼養頭数は、全体で は5%の減少と予測している。QLD州では2%程度の増加と見込まれているも のの、南部を中心に季節的に放牧が進み、QLD州を除くほぼすべての州で減少 すると見込まれている。
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