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【シンガポール駐在員 外山 高士 12月10日発】シンガポールの最大手スー パーマーケット・チェーンは、政府による賃金引き下げにより生活の苦しくなる低 所得者層を支援するため、鶏肉などの畜産物を含む121品目の小売価格引き下げ を実施した。
シンガポールの最大手スーパーマーケット・チェーンは、政府の来年1月からの 賃金引き下げにより生活の苦しくなる低所得者層を支援するため、鶏肉や乳製品を 含む食料品などの小売価格について、8月に既に実施していた33品目に加えて、 合わせて121品目で平均9%の引き下げを実施した。
同チェーンは、与党系の労働組合が運営する協同組合組織で、国内にスーパーマ ーケットを65店舗持っており、プライス・リーダー的な存在となっている。
一方、東南アジアの通貨危機により、当初あまり影響のなかった同国経済も、イ ンドネシアなどからの観光客の減少や輸出不振により停滞傾向となっており、消費 者物価指数は前年同月比で5ヶ月連続の減少となり、今年1月から10月までのイ ンフレ率が0%まで下降するデフレ状況となっている。
このため政府は、同国の景気回復を図るため、労働コストの削減を目的として、 来年1月より2年間、国内で事業を行う事業主と被雇用者が賃金の20%ずつを被 雇用者の口座に強制的に積み立て、将来の被雇用者の年金などになる、中央積立基 金(CPF)の事業主比率を10%に引き下げることとしている。また、民間給与 の決定に大きな影響力を持つ公務員の給与を、上級官僚で10%、その他の官僚で 5%引き下げることも決定しており、来年以降の一般労働者の賃金が、抑制される ものとみられている。この政策は、85年に同国において、その数年前から行われ ていた不動産への過剰投資の結果、65年の建国後初めて訪れた不景気の時期に同 様の政策を行い、景気を回復させた経緯があり、政府はその成果に期待している。
これらの状況の中、今回の小売価格の引き下げが実施されており、畜産物では、 国産の鶏卵は10個パックで1.30シンガポールドル(1シンガポールドル=約 73円)のものが1.10シンガポールドル、バターは250gで1.30シンガ ポールドルのものが1.20シンガポールドル、牛乳1リットルは2.50シンガ ポールドルが1.95シンガポー 5.50シンガポールドルと6〜20%程度 とかなりの引き下げとなっている。
同チェーンでは、系列の食堂などでも、来年以降5〜10%の価格の引き下げを 計画しており、これらの引き下げが低所得者層への更なる支援となるものと考えて いる。
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