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【シドニー駐在員 野村 俊夫 7月7日発】豪州では、7月1日をもって食肉 (牛肉および羊肉)業界の新体制が始動した。豪州食肉畜産公社(AMLC)、豪 州食肉研究公社(MRC)および食肉産業協議会(MIC)の3団体が解散し、ミ ート・ライブストック・オーストラリア(MLA)を含む民間3団体が新設される など、体制が一新された。 豪州では、98/99年度の初日となる7月1日をもって、牛肉・羊肉業界の新 体制がスタートした。 今回の体制刷新については、既に、4月27日の政府・業界間の基本合意(MOU) によりその骨格が固められていたが、その後、細部の調整も順調に進み、予定どお りの日程で新体制が始動の運びとなった。 新体制下では、法律に基づき設置されていた豪州食肉畜産公社(AMLC)、豪州 食肉研究公社(MRC)、食肉産業協議会(MIC)の3団体が解散し、代わりに民 営のミート・ライブストック・オーストラリア(MLA)、豪州ミート・プロセッサ ーズ・カンパニー(AMPC)、ライブコープ(Livecoop)の3団体が新設された。 このうち、MLAは、業界全体の利益を追求する組織として位置付けられ、旧AM LCおよび旧MRCの大部分の業務を引き継ぐことによって、実質的に豪州食肉業界 の中核を担う組織となる。 一方、AMPCおよびLivecoopは、それぞれ、と畜・食肉加工・輸出業界および生 体家畜輸出業界の利益を代表する組織として位置付けられており、独自の事業展開や MLAとの合弁事業などを通じてそれぞれの業界に貢献することとなる。 また、既存の業界団体のうち肉牛生産者協会(CCA)、羊生産者団体(SCA)、 フィードロット協会 (ALFA)、と畜・食肉加工・輸出業者団体(NMA およびAMC)、生体家畜輸出業者団体(ALEC)の6団体が中核産業協議会(ピ ーク・インダストリー・カウンシル)とされた。 これらの各団体は、各々の業界の意見を反映させるべく、関連する新設3団体を 通じて活動することとなるが、新設3団体が民営となったことから、その発言力が 従来よりも強化されると見られている。 また、上記の諸団体とは別に、業界全体の監督・調整機関として食肉諮問協議会 (RMAC)が設置された。RMACは、政府の諮問機関として食肉産業戦略計画 (MISP)の推進状況を監視するとともに、新体制下で業界全体の利害を調整す る。 一方、新体制を支える活動財源としては、肉牛・羊の生産・流通業者が取引課徴 金を政府に納める一方、と畜・食肉加工・輸出業者および家畜生体輸出業者は、A MPCおよびLivecoopを通じて、MLAに一定の拠出金を支払うことが定められた。 また、MLAは、その研究開発事業費の一部を民間から調達することとなり、政 府も、MLAに一定の研究開発事業費を提供することとなった。 MLAのリチャード・ブルックス社長は、新体制のスタートに際し、MLAがあ くまでも業界全体の利益に貢献するための組織であることを強調する一方、明確な 事業計画、透明な財政運営を通じて、業界との確固たる信頼関係を構築したいと述 べた。 ちなみに、新体制下では、団体の民営化に伴い業界側の発言力が全体として強化 される上、財政区分の明確化によって業界内の各セクターの独自性が高まることか ら、業界全体のかじ取りが従来にも増して難しくなると見られており、今後の動向 が注目されている。
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