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USDA、農産物輸出促進事業対象数量を発表


【デンバー駐在員 本郷 秀毅 7月9日発】米農務省(USDA)は6月30日、
輸出奨励計画(EEP)および乳製品輸出奨励計画(DEIP)の今後1年間(98
年7月〜99年6月)の商品別割当対象数量を発表した。実際の配分については、市
場条件を見極めながら実施するとしており、今後のUSDAの対応が注目される。 

 USDAは、米国産農産物の輸出を促進するため、食料援助事業、海外市場開発
事業、輸出信用保証事業のほか、EEPおよびDEIPの2つの輸出補助事業を実
施している。これら2つの輸出補助事業は、80年代に、ECが膨大な農産物の過
剰問題を背景として補助金付き輸出を拡大し、米国産農産物の輸出シェアが減少し
たことから、その対抗措置として85年に導入されたものである。

 EEPは、特にEUによる補助金付き輸出に対する米国産農産物の競争力を維持
するため、農産物の輸出業者に対して、調達コストと販売額の差額に相当する補助
金を交付する事業である。本事業の主な目的は、米国産農産物の輸出拡大と不公正
貿易に対する対抗措置であるとされている。

 また、DEIPは、対象商品を乳製品に限定しているものの、事業の仕組み自体
は、EEPとほぼ同様である。本事業の主な目的は、他国の輸出補助金により米国
産乳製品が競争力を持ち得ない地域における輸出市場の開拓である。

 米国は、世界貿易機関(WTO)協定に基づき、毎年、補助金付き輸出の上限値
を設定しており、輸出量に関しては7月1日からの1年間、輸出額に関しては10
月1日からの1年間をそれぞれ対象として設定している。このうち、今回、USD
Aが発表したのは、98年7月〜99年6月までの1年間の補助金付き輸出量の上
限値に関するものである。

 発表に当たり、グリックマン米農務長官は、「今回の配分は、ウルグアイ・ラウ
ンド合意に基づく補助金付き輸出削減約束に合致しており、不公正貿易慣行に対抗
して輸出市場を維持するという我々の決意を実証するものである。他の全ての国と
同様、我々は自衛の権利を保持する。EEPおよびDEIPを必要かつ適切と思わ
れる地域に対して活用するのが、USDAの意図である」と表明した。

 しかしながら、市場条件次第では、今回公表された割当が必ずしも実施に移され
るわけではなく、現時点では、DEIPに基づく乳製品の輸出およびEEPに基づ
く冷凍家きん肉の輸出のみが実施される見込みであるとしている。

 以下、両事業に基づく主要農産物の割当量を列記すると、以下のとおりである。

・小麦:  16,153,500トン
・小麦粉:    475,000トン
・大麦/麦芽製造用大麦:
       1,489,000トン
・冷凍家きん肉:  30,475トン
・鶏卵: 16,256,000ダース
・脱脂粉乳:    84,212トン
・全粉乳:      5,003トン
・バター:     29,854トン
・チーズ:      3,350トン



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