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【ブラッセル駐在員 井田 俊二 3月5日発】EU委員会は、2月25日、本 年4月1日からEU全域で実施を予定していた、牛海綿状脳症(BSE)の感染 源となる可能性の高い特定危険部位(SRM)の使用禁止措置を再度延期するこ となどを定めた提案を行った。 EUでは、BSEなどの感染防止対策として、全域においてBSEなど伝染性 海綿状脳症(TSE)の感染源となる可能性の高いSRMの使用禁止措置を取る こととしている(委員会決定97/534)。 この決定は、昨年7月、食用、飼料用といった用途にかかわらずSRMの使用 を一切禁止することとし、98年1月1日から実施することとなっていた。SR Mとして特定された部位は次の通り。@12カ月齢を超える牛、めん羊および山 羊の頭がい(脳および眼球を含む)、扁桃およびせき髄、Aめん羊および山羊の ひ臓。 しかし、昨年12月、実施を98年4月1日に延期するなどの措置が取られた。 今回の提案では、実施をさらに3カ月間延期(7月1日)することとした上で、 各国(EU加盟国以外を含む)は7月1日までにそれ以降の適用免除申請をEU 委員会に申請できることとし、EU委員会では、申請に基づき98年末までに結 果を出すこととしている。したがって、これらの申請国においては、実質的には SRMの使用禁止は99年1月1日まで猶予されることとなる。ただし、自国で 生産された牛からBSEの発生が確認された国(EU加盟国ではイギリス、アイ ルランド、フランス、ポルトガル、オランダ、ベルギー、およびルクセンブルク の7カ国)については、申請を行った場合であっても7月1日から前述のSRM の使用禁止措置を実施しなければならないとしている。 また、この提案では、SRMとして次の通り特定部位を拡大した。@12カ月 齢を超える牛およびめん羊および山羊の頭がい(脳、硬膜、下垂体、および眼球 を含む)、扁桃、腸(十二指腸から直腸)、せき柱(神経節後根、せき髄および 硬膜を含む)Aめん羊および山羊のひ臓。これは、今回の提案に先立ってEUの 科学運営委員会(SSC)が行った結果報告に基づいたものである。この結果、 昨年12月、イギリスで打ち出したTボーンステーキなどの骨付き肉の使用がE Uにおいても一部禁止されることとなる。 今回の提案は、BSE非発生国からの反発および米国間との貿易問題の緩和等 をねらった措置とみられるが、対策がより複雑化したことは否めない。 この提案は、3月4日の常設獣医委員会(SVC)で特定多数以上の賛成が得 られなかったことから、今後、その審議が農相理事会において行われることとな っている。
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