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【シンガポール駐在員 伊藤 憲一 3月5日発】タイ鶏肉業界がまとめた97 年の鶏肉の輸出数量は、96年までの減少から一転して、大きな伸びとなった。 特に、96年から増加しているEU向けの輸出数量が、冷凍鶏肉および鶏肉調製 品とも大幅に増加した。一方、日本向けは、冷凍鶏肉が減少したものの、鶏肉調 製品が引き続き増加した。 タイブロイラー加工輸出業者協会が取りまとめた97年の鶏肉の輸出状況(速 報値)によると、冷凍鶏肉および鶏肉調製品の輸出数量は、冷凍鶏肉が151. 1千トン、前年比111%、半調理品を含む鶏肉調製品が41.1千トン、同1 45%、合計で192.2千トン、同116%となり、大幅な増加となった。 この主な要因は、@日本向け鶏肉調製品の輸出が引き続き20%を超える好調 な伸びであったこと、AEU向けの同製品の輸出が、前年に比べ約3倍に拡大し たこと、 BEU向け冷凍鶏肉の輸出が、96年に引き続き60%を超える大幅 な伸びとなったこと、C日本向け冷凍鶏肉の輸出は減少したが、シンガポール、 韓国など他のアジア諸国への輸出が増加したこと、などとなっている。 地域別の輸出状況をみると、アジア地域では、日本向けの冷凍鶏肉が96.4 千トン、同94%となり引き続き減少したが、鶏肉調製品は32.5千トン、同 126%となり引き続き順調に拡大した。その他の国への冷凍鶏肉の輸出は、韓 国が1.8千トン、同454%、香港が2.4千トン、同176%、シンガポー ルが6.3千トン、同138%となり大幅な増加となった。 EU地域への輸出数量は、冷凍鶏肉が38.4千トン、同163%、鶏肉調製 品が8.4千トン、同336%となり、特に、鶏肉調製品が大幅に増加したこと が注目される。国別でみると、冷凍鶏肉では、オランダが15千トン、同220 %、ドイツが15.8千トン、同143%となった。なお、 EU以外のヨーロ ッパ地域への輸出も増加した。しかし、昨年8倍もの増加を示したイギリスへの 輸出は、3.8千トン、同80%と減少した。 また、鶏肉調製品では、オラン ダが4.3千トン、同12倍、イギリスが2.8千トン、同4倍の大幅な増加と なった。 この結果、タイの冷凍鶏肉の日本向け輸出シェアは、64%となり、96年の 75%から大きな低下となった。また、鶏肉調製品の同シェアは、日本への輸出 数量は増加しているものの、EU向け輸出の大幅な増加により、96年の91% から79%へと低下している。しかし、依然として日本への依存度は高いものと なっている。 業界では、昨年来、香港で発生した鶏の新型インフルエンザ汚染問題で、EU の中国鶏肉の輸入解禁が、さらに遅れるものと見ており、この好状況は当分続く ものと目論んでいる。
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