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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 9月30日発】USDAは9月28日、危害分析 重要管理点監視方式(HACCP)などの最終規則に基づく、食肉および家きん肉 に係るサルモネラ菌汚染の基準値達成状況に関する検査結果を公表した。これによ れば、基準値はほとんど達成されており、安全性は大幅に改善されているとしてい る。 米農務省(USDA)は、96年7月、食肉および家きん肉の安全性を改善する ため、HACCPを基本とした食肉検査制度の最終規則を発表した。当該規則に基 づき、全てのと畜・加工処理施設は、HACCPに基づく各処理工程の管理・監視 方式を導入することが義務づけられた。 また、と畜施設は、HACCPシステムが目的どおりに機能しているかどうかを 確認するため、一般大腸菌の検査を実施することが義務づけられた。 さらに、HACCPシステムが病原菌の削減に有効に機能しているかどうかを確 認するため、生またはひき肉の食肉および家きん肉を生産する工場における、サル モネラ菌の削減達成基準値が設定された。食品安全検査局(FSIS)は、製品の サンプルをとることにより、それらがサルモネラ菌に係る基準値をクリアしている かどうかを確認するため、検査・分析を実施することとされた。 検査対象としてサルモネラ菌が選定されたのは、同菌が原因で年間384万人も の食中毒患者を出しているばかりでなく、あらゆる種類の食肉に存在し、かつ、検 査が容易であるためであるとされている。 FSISによって設定された達成基準値は、食肉の種類などによってそれぞれ異 なる。現在、達成基準値が設定されているのは、肉用牛、豚およびブロイラーのと 体(枝肉)、牛肉、鶏肉および七面鳥肉のひき肉である。これらの基準値は、HA CCPの導入以前にFSISが実施した病原菌に関する全国調査に基づいて設定さ れており、具体的には、調査結果の業界平均値が用いられている。 実際の基準値は、一定のサンプルセットの中に含まれる陽性サンプル数の最大許 容値として表現される。例えば、ブロイラーを例に挙げれば、1サンプルセットは 51サンプルとなっており、その最大許容値、すなわち達成基準値は12サンプル と設定されている。 今回公表された検査結果は、本年1月より178の大規模食肉処理加工場でHA CCPが導入されたことに伴い、当初6カ月の検査結果を取りまとめたものである。 検査結果の概要は以下のとおりである。 十分なサンプルセットの得られた81工場のうち71工場、すなわち88%の工 場においてサルモネラ菌の達成基準値をクリアしていた。また、陽性サンプルの割 合は、家きん肉については、HACCP導入以前の全国基準値が20%であったの に対し、今回は10.4%とほぼ半減していた。豚肉についても、同様に8.7% から5.5%へと低減していた。 なお、99年当初に公表が予定されている次回の報告においては、全ての製品の 調査結果を公表することが予定されている。
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