フランス政府が豚生産者に対する支援策を公表−欧州−平成11年4月第384号

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フランス政府が豚生産者に対する支援策を公表



【ブラッセル駐在員 井田 俊二 4月15日発】フランス政府は、4月7日、豚
肉価格の低迷により経営に悪影響が及んでいる同国の豚生産者に対し、総額1億4
千万フランスフラン(約28億円:1FF=20円)の支援策を公表した。同国政府
は昨年、豚生産者に対する支援策を打ち出しており、今回はそれに続く措置である。

 フランスでは、豚飼養頭数の増加などを背景として98年には豚肉価格が下落し、
その後も価格が低迷している。この結果、同国豚生産者の経営に悪影響が及んでい
る。

 このため、同国政府は98年9月および11月に経営資金調達の支援措置などと
して、1億FF(約20億円)および1億5千万FF(約30億円)の国内支援策
を打ち出した。

 フランス政府は、さらにこのたび追加支援策(総額1億4千万FF)を公表した。
内訳は次のとおりである。
@ 豚生産者の基金拠出金の軽減:1億F
   F(約20億円)
A 経営危機に直面している転職希望者へ
   の支援:2千万FF(約4億円)
B 最近に投資を行った豚生産者(特に山間部)への支援:8百万FF(約1億
   6千万円)
C Bの地域での豚生産への支援:2百万
   FF(約4千万円)
C 過疎地域での雇用者確保:1千万FF
  (約2億円)

 フランス政府は、EUにおける豚肉供給量の過剰問題が顕在化する中、EU委員
会に対し豚生産の抑制を図るためEU全域を対象とした対策を求めていた。

 この問題に対して、EU委員会は、豚肉輸出補助金の引き上げ、民間在庫補助の
発動による需給改善措置を講じたものの、生産量を削減するための対策に前向きな
姿勢を示していなかった。その背景には、既存の対策で、ある程度の成果が見られ
たとの判断もあった。

 こういった状況の中、フランス政府は独自の国内支援策を打ち出した。
 
 フランスの養豚技術協会(ITP:Institut Technique du Porc)によると、同国に
おける98年の豚肉需給バランスは次の通りである。
                   (単位:千トン、%)
  1997 1998 前年比
生産量 2,228 2,333 +4.7
輸入量 451 503 +11.6
輸出量 608 592 -2.6
消費量 2,071 2,160 +4.3
消費量(s/人) 34.4 35.7 +3.8
注1:生産量および輸出量は枝肉ベース
  2:98年消費量はITP推計値

 これによると、生産量は飼養頭数の増加を反映して増加(対前年比+4.7%)した。
また、輸出入量は、EU域内における豚肉市場の競争が激化したため、輸入量は大
幅に増加(同+11.6%)したが、輸出量は減少(同-2.6%)した。こうした国内の需
給状況に反した輸入量の増加に対し、同国の豚生産者団体からは国産豚肉への回帰
を求める運動が見られた。一方、消費量は、価格の低下を反映して増加(同+4.3%)
したものの、全体として豚肉需給は緩和した。

 また、豚肉価格について見ると、98年には低下基調で推移した。その後も、価
格の低迷が続いており、99年3月半ばの豚肉価格は前年と比較して約2割低い水
準となっている。


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