USDA、食肉へのオーガニックの認定表示を解禁−米国−平成11年4月第384号

ALIC/WEEKLY


USDA、食肉へのオーガニックの認定表示を解禁



【デンバー駐在員 藤野 哲也 4月15日発】米農務省(USDA)は、4月1
2日付け官報で、食肉および家きん肉に対するオーガニックの認定表示を認めるこ
とを発表した。オーガニック農産物の最終規則の制定までの暫定的な措置であるが、
USDAでは、200の食肉生産者および44のオーガニック認証機関からの申請
があると見込んでいる。

 90年農業法の一部として成立した「90年オーガニック食品生産法」は、US
DAに対し、@オーガニック農産物の全国基準を策定すること、Aオーガニックと
して生産される農産物がその基準に合致していることを消費者に保証すること、B
オーガニック農産物の取引を促進することなどを求めている。

 これを受けて、USDA/農業マーケティング局(AMS)は、全国オーガニッ
ク基準委員会(NOSB)の設置など規則案作りに着手し、97年12月、ようや
くオーガニック規則案の発表にこぎつけた。

 しかし、AMSが規則案の発表に当たり、遺伝子組み換え作物や放射線照射など
の取り扱いについて、一般からの意見を求めた上で決定することとしたことから、
オーガニック認証団体などを中心として大きな反響を呼ぶこととなった。この結果、
USDAに提出されたコメント数は、実に28万件にも上り、現在、AMSが規則
案の見直し作業を行っているが、最終的に規則が施行されるまでには、相当の時間
を要すると見込まれている。

 ところで、食肉および家きん肉については、認証団体などの飼養基準に基づき、
オーガニック食肉として認定を受けることは可能であるものの、その表示を管轄す
るUSDA/食品安全検査局(FSIS)は、オーガニックという用語に対する統
一的な定義が無いことを理由に、米国内において、"オーガニック"という表示を認
めていなかった。

 なお、FSISは、"オーガニック"に代わる表示として、"ホルモンを投与せずに
飼育"、"抗生物質を投与せずに飼育"などの表示を食肉などに認めている。加えて、
合成着色料や合成保存料などの合成物質を含まず、かつ、食用または保存のための
最低限の加工(くん製、冷凍、乾燥など)を施された食肉などについては、"ナチュ
ラル"の表示が認められている。

 このため、食肉などの生産者は、生産する畜産物にオーガニック表示ができるよ
う、オーガニック規則の一刻も早い施行を待ち望んでいると同時に、FSISに対
して、オーガニック規則が施行されるまでの間、暫定的にオーガニックとして認定
された旨の表示を認めるよう求めていた。

 これを受けて、FSISは、オーガニック認証機関から承認されている食肉およ
び家きん肉に対し、「○○認証機関により認定されたオーガニック」という表示を
認可することを4月12日付け官報に発表した。
 
 FSISは、200の食肉などの生産者および44の認証機関からオーガニック
の認定表示の申請があるものと見込んでいる。なお、FSISは、食肉などに対し
当該表示に加え、"ナチュラル"の表示を併記することを認めるとしている。

 一方、FSISは、食肉などに対するオーガニックの定義が、今後公表されるA
MSのオーガニック規則案で明確にされるものであるとしており、今回の措置は、
あくまで暫定的なものにすぎないとしている。


元のページに戻る