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同国の鶏肉の輸入は、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意に基づき、96 年よりミニマムアクセス数量(MAV)を決定し、関税化されている。政府の発表 によると、昨年の冷凍鶏肉の輸入量は3千7百トンでうち1千2百トン程度が免税 業者による輸入となっている。
しかしながら、今年の初め頃から、冷凍鶏肉の輸入量が急増し、99年6月まで 昨年の約2倍に相当する7千8百トンが輸入されている。さらに、免税品の一般の スーパーマーケットでの販売が目立ち始め、養鶏業界は、小売価格を下落させる原 因になっているとして、農業省に対し輸入中止の申請を行っていた。なお、免税品 の価格は1s当たり26〜30ペソ(1ペソ=約3円)、一般市場の価格は45〜 50ペソである。
農業省では、昨年のエル・ニーニョにより高温の日が続いたことから、鶏肉生産 量が低下したことや、通貨危機により原種鶏などの輸入が低調であったことなどか ら、国内生産力が低下していることを考慮し、冷凍鶏肉の免税での輸入が国内生産 に悪影響を与えるとして、この免税許可証の発行の一時停止に踏み切ったものとみ られている。
先に畜産統計局が公表した資料によると、99年1月における鶏の総飼養羽数は 1億1千6百万羽で、98年1月の1億3千8百万羽と比べて、16%の減少とな っている。また、99年1月から6月までの生産量においても、牛肉が前年比10 %増など畜産全体が増加を示す中、鶏肉は4%減、鶏卵1%減となっており、養鶏 産業のみが減少している。
アンガラ農業長官は、鶏肉は生産の安定した品目ではないので、これを保護する ために一定の関税を課すことがUR合意で認められており、もしこれより安い鶏肉 を輸入したいのであれば、UR合意に基づく、MAV枠を使って輸入するべきであ るとして、免税での輸入中止が東南アジア諸国連合(ASEAN)内での貿易自由 化の流れに逆らっていないとしている。
同国内では、アキノ元大統領の呼びかけで開催された、憲法改正に反対する集会 に5万人の参加者があった一方で、同じ日に行われたエストラーダ大統領の支援集 会には、それを上回る参加があるなど、いまだに国民からの強い支持を受けている 大統領は、その多くを占める貧困層への対策の1つである農業振興を、今後も一層 強めていくものとみられている。
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