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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 8月24日発】カナダは8月19日、農業分野に おける次期世界貿易機関(WTO)交渉の課題を公表した。連邦政府によれば、こ れは、業界関係者および州政府との過去2年間にわたる議論の末に決定されたもの であるとしている。 カナダの交渉ポジションは、以下の3つの優先課題を基礎としている。 第1に、国際的な競争条件を対等化し、カナダの農業および農産食品製造業者が、 諸外国の市場において新しい輸出機会を創出できるように努めることである。第2 に、市場の安定と利益を守るため、供給管理政策やカナダ小麦ボードのような秩序 あるマーケティング・システムを維持することである。第3に、付加価値商品の輸 出機会の拡大を求めることである。 また、交渉項目ごとに示された具体的な課題は以下の通りである。 輸出補助金については、@可能な限り早く、農業に関するすべての輸出補助金を 撤廃すること、A政府助成に基づく輸出信用および輸出信用保証事業、輸出市場販 売促進および開拓事業、ある種の食料援助、あるいは他の形式による輸出支援が、 輸出補助金の代替措置とならないようにするためのルールを作ることである。 国内支持については、@いわゆる「生産制限」または「青」の政策を含む、生産 および貿易わい曲的支持の可能な限りの削減、Aすべてのタイプ(緑、青および黄 色の政策)の国内支持の総量に対する全体的な制限、B「緑」の政策が生産および 貿易をわい曲しないことを確保するための「緑」の政策の定義の再検討、C紛争処 理に関するカナダの権利を制限する「平和条項」の撤廃である。 市場アクセスについては、@ゼロ・ゼロ提案:油糧種子・油糧種子製品、大麦・ モルトおよびその他可能な製品分野について、関税の相互撤廃(輸出補助金および 輸出税を含む。)、A通常関税:同種の競合産品に対する最終譲許税率の格差およ び1次産品とその加工品間のタリフ・エスカレーション(1次産品に比べ加工品の 関税を高く設定すること)の実質的な削減、B関税割当:消費量の最低5%という ミニマム・アクセスの義務化(バインディング)および産品ごとの適用、国別割当 の撤廃を含む関税割当の運営ルールの義務化、関税割当内の関税の撤廃を求めるル ールの義務化である。 輸出規制および輸出税については、食料純輸入国による食料安全保障の懸念に配 慮し、輸出税および輸出制限規定のルール化、および国家安全保障に係る輸出禁止 品目に食料および飼料を含めることを禁止することである。 衛生植物検疫措置の適用に関する協定(SPS協定)については現状維持、バイ オテクノロジーについてはWTO内に作業委員会を設置することなどである。
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