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【ブラッセル駐在員 井田 俊二 12月9日発】EU統計局(EUROSTAT)は、 99年6/7月現在のEUにおける牛飼養頭数を公表した。これによると、牛飼養 頭数は、8,392万5千頭で前年比1.4%下回り、引き続き減少している。
牛飼養頭数の内訳は、次の通りである。 (単位:千頭、%)
98年 |
99年 |
前年比 |
|
15ヵ国合計 1歳未満 1〜2歳 2歳以上 うち雌 未経産 経産 乳用 肉用 |
85,741 25,107 18,377 41,426 99,225 6,079 33,146 21,141 12,007 |
83,925 24,625 17,929 41,206 38,957 6,010 32,947 20,994 11,955 |
▲1.4 ▲1.9 ▲2.4 ▲0.5 ▲0.7 ▲1.1 ▲0.6 ▲0.7 ▲0.4 |
EUの牛飼養頭数は、96年(8,743万3千頭)から減少傾向にある。これ は、96年3月に発生した牛海綿状脳症(BSE)問題の対策として、30ヵ月齢 以上の牛とう汰計画、子牛と畜奨励金および早期出荷奨励金等の措置が導入された ことが主な要因である。 加盟国別に見ると、すべての加盟国で飼養頭数が減少している。減少率は、ルク センブルク(同▲3.4%)、スウェーデン(同▲3.2%)、アイルランド(同 ▲3.1%)で大きく、フランス(同0.0%)で最も小さい。特に、近年EU全 体の牛飼養頭数が減少傾向にあるにもかかわらず、増加傾向を維持していたアイル ランドおよびスペインも減少した。 カテゴリー別でも、すべてのカテゴリーで減少している。2歳以上の繁殖雌牛に ついて見ると、乳用種は、生乳生産クオータの管理下、1頭当たりの乳量が増加し ていることから引き続き頭数が減少した。肉用種は、BSE問題後、消費量の回復 を背景として増加傾向にあったが、99年は前年を0.4%下回った。 同局は、併せて2000年のと畜見込み頭数を公表した。これによると、200 0年のと畜見込み頭数は、2,817万1千頭で、99年と畜頭数(見込み)とほ ぼ同水準(同+0.2%)になると予測している。 加盟国別に見ると、イギリスで前年比+14.8%と前年を大きく上回っている。 これは、99年7月末で子牛と畜処分奨励金が廃止されたためとみられる。一方、 アイルランドでは、前年比▲6.7%と前年を大きく下回っている。これは、98 /99年に他のEU加盟国向け生体牛輸出が増加したためである。 なお、99年のEU牛肉生産量見込み(99年10月時点)は、約760万トン (枝肉ベース)で前年を下回るため、牛肉自給率は103%と最低水準になるとみ られている。今後の牛肉自給率は、BSE関連対策の解除等による生産増で一時的 に上昇するものとみられている。
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