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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 12月7日発】米農務省(USDA)は、次期世 界貿易機関(WTO)交渉における交渉課題の1つになるとみられる国家貿易企業 (STE)について、これらを4つのタイプに分類する案を公表した。 WTO協定上、STEは、「政府又は非政府の企業(販売に従事する機関を含む。) であって、購入及び販売を通じ輸入又は輸出の水準又は仕向け先に影響を及ぼす排 他的又は特別な権利又は特権(法令又は憲法上の権限を含む。)を付与されたもの」 と定義されている。 WTO加盟国は、WTOに対して、定期的に自国のSTEの活動について通報す ることが義務付けられている。95年および96年には、30ヵ国以上の加盟国が、 約100の農業関連機関がSTEに定義され得るとWTOに通報している。 USDAによるSTEの分類案は以下の通りである。 ・タイプT:国内市場も貿易も管理しないため、市場への影響力は、仮にあったと しても、ほとんどないタイプ ・タイプU:国内市場を管理するだけで、貿易わい曲の潜在性が低いタイプ ・タイプV:国内市場での競争は認めるが、対外貿易では認めないため、ある程度 貿易わい曲の潜在性があるタイプ(例:輸出独占企業) ・タイプW:貿易および国内市場双方に排他的または特別な権利を有するため、他 の3つのグループに比べ貿易わい曲の能力が大きいタイプ 以上のような分類を踏まえ、USDAは、主要STEを以下のように分類している。 輸出STEでは、ニュージーランド・デイリー・ボード(NZDB)が、ニュー ジーランド産乳製品の唯一の輸出業者としての法的権限を有しているものの、国内 市場および輸入の権限は有していないため、タイプVに分類されている。また、豪 州小麦ボード(AWB)およびクインズランド砂糖公社(QSC)も、輸出独占企 業としてタイプVに分類されている。他方、カナダ小麦ボード(CWB)は、小麦 および大麦の国内市場(飼料用を除く。)における調達・販売および輸出について 排他的な権限を有しているため、タイプWに分類されている。 輸入STEでは、日本の食糧庁が、米に関してタイプVに分類されるとともに、 小麦および大麦に関してタイプWに分類されている。以上のほか、中国のSTEは 穀物に関してタイプWに分類されるとして、特別の分析を試みている。 米国は、自国の商品金融公社(CCC)をタイプTまたはタイプUに分類して守 る一方、次期交渉では、タイプVおよびタイプWに注意を仕向けようとしている。 しかしながら、関係国は、輸出信用保証事業を行うCCCが米国の希望する分類に 入るとは見ていない。
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