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【ブエノスアイレス 浅木 仁志 7月14日発】アルゼンチンでは、いまだに、伝統的な 商習慣と流通システムが温存されており、家畜・食肉の流通は複雑である。同国で は、毎月約1百万頭の肉牛がと畜されている。 生産された肉牛は、さまざまな規模の冷凍庫会社(大部分がと畜場を有している) が生体で買い取り、と畜・解体し、小売市場へ売り渡す。生体取引を行うこの国で は、生産者と冷凍庫会社の間に4つの家畜取引のルートがある(かっこ内は総成牛 取引頭数に占める割合)。 @ 家畜市場(もともと元々国営だったが、 91年に民営化された。大手の食肉ブロー カーが荷受けを管理し、経営している。主 なものとして、ブエノスアイレス州リニエ ルス(LINIERS)市場、サンタフェ州ロサ リオ(ROSARIO)市場の2つがある。) (20%) A 地方での競売(15%) B 食肉ブローカーの直接取引(10%) C 農家庭先での直接売買(55%) そして上記4つがさまざまに錯綜している。 家畜市場を経由する流通は、年々その取引頭数が減少しているが、最大規模のリ ニエルス市場では国内の成牛(と畜前)価格の相場が形成されている。取引は午前 8時から始まり、購買者のマークを刻印された牛はトラックでと畜場に運ばれる。 ブエノスアイレス大都市圏でと畜される牛の約半分は、リニエルス市場からのもの である。 地方の家畜の競売は、近年、農家庭先での直接売買にその地位を奪われている (80年代は35%を占めていた)。 食肉ブローカーは、自ら直接に、あるいは家畜市場または地方の競売場で、生産 者の委託を受けて取引の仲介をする。近年その数は減っているが、現在約300社 の食肉ブローカーと100以上のそれらの支店がある。大手食肉ブローカーの実体 は大手の冷凍庫会社である場合が多く、また、小規模の冷凍庫会社やと畜業者が食 肉ブローカーとして生産者と取引することもある。経営難から、小規模の食肉ブロ ーカーが生産者に肉牛購入代金を支払えない場合、大手食肉ブローカーは、今後の 生産者に対する信頼を得る必要から、彼らの代わりに代金を支払うケースもある。 Bの形態はブエノスアイレス大都市圏だけに見られ、上述の食肉ブローカー約30 社が月平均7万5千頭を扱っている。 農家庭先での直接売買は、数量的に現在最も重要な流通形態である。地方の小規 模なと畜業者が農家から直接買い付けるのが主流であるが、一匹おおかみ的ブロー カーが間に入り取引を仕切ることもある(売り上げの約1%のマージンを取る)。 一般の食肉ブローカーが介在しないこの手の取引は、ここ10年で増加した。一匹 おおかみ的ブローカーの広範囲の活動は、この国の家畜取引において特徴的に見ら れる。
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