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【シンガポール 外山 高士 7月15日発】フィリピン政府が公表した農業統計によ ると、98年の鶏肉生産量は、92万9千トンで対前年比1.1%減、鶏卵は22 万3千トンで同1.9%増となっており、これまでの高い伸び率が低下している。 しかし、前年において減少に転じていた鴨肉では5万1千トンで1%増、同じく鴨 卵についても5万3千トンで0.3%増と、わずかながら再び増加になっている。 同国における鶏肉の生産量は、国内需要の増加に伴って増加傾向で推移してきた。 96年においては、85万2千トンで対前年比14%増、97年においても93万 トンで9%増と、かなりの増加となっていた。また、鶏卵の生産量においても、9 6年は20万6千トンで3%増、97年は22万3千トンで8%増と、同様に増加 傾向で推移していた。一方、鴨肉は96年に5万1千トンで対前年比8%とかなり の増加となっていたものの、97年には5万8百トンで0.4%と、わずかながら 減少に転じており、鴨卵についても、96年に5万4千トンで14%の増加となっ ていたものが、97年には5万3千トンで3%の減少となっていた。 しかしながら、98年の生産量は、鶏肉については1.1%の減少、鶏卵につい ては1.9%の増加となり、これまでの高い伸び率が低下している。これは、通貨 危機に伴う物価の上昇により消費者の購買力が低下したこと、輸入価格が上昇した ためインテグレーターが素びなの輸入を減少させたこと、台風などの気象災害によ って生産地が被害を受けたことなどにより生産量が減少したことが主な要因となっ ていると政府では分析している。気象災害では、昨年末に発生したルソン島北部な どにおける台風の被害は深刻で、政府の発表では14万羽、2千6百万ペソ(約8 千7百万円:1ペソ=3.35円)にも及んでいる。また、エル・ニーニョ現象の 影響による熱波の影響を受け、産卵率が低下したことも、要因として挙げられてい る。 今後の見通しとして、政府では、鶏肉に関して国内価格と輸出価格がともに低い 水準にあることや、昨年から引き続き、今年前半の素びなや原種鶏の輸入羽数も低 い水準で推移していることなどから、99年第3四半期までは98年の影響が残り 低調に推移するものの、第4四半期には鶏卵、鶏肉ともに回復の傾向がみられるの ではないかとしている。
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