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EU加盟国で繁殖雌豚飼養頭数の減少進む



【ブラッセル駐在員 井田 俊二 7月22日発】EU統計局は、EUにおける9
9年4月現在の豚飼養頭数(8ヵ国のみ)および2000年3月までの豚と畜見込
み頭数(15ヵ国)を公表した。99年第4四半期以降と畜頭数が減少に転じるも
のとみられている。

 EUの豚飼養頭数は、96年以降増加が進み過剰問題が顕在化している。98年
12月の飼養頭数調査によると、EUの総飼養頭数(前年同期比5.5%増)およ
び繁殖雌豚頭数(同1.1%増)は引き続き前年の水準を上回った。

 今回の調査によると、総飼養頭数は、早期に繁殖雌豚とう汰等の対策を講じたイ
ギリス(前年同期比10.7%減)で前年を下回ったものの、スペイン(同7.7
%増)、オランダ(同3.6%増)およびデンマーク(同2.2%増)といった主
要生産国で依然前年を上回っている。ただし、このうち繁殖雌豚頭数は、スペイン
(同8.1%増)、デンマーク(同1.9%増)を除き前年を下回っている。特に、
豚コレラの終息で前年同期に飼養頭数の回復が顕著であったオランダ(同12.7
%減)では大幅な減少が見られる。

 なお、スペインにおける飼養頭数の増加は、同国への子豚供給元であったオラン
ダでの豚コレラ発生を機に子豚の自国生産が進展したためである。また、デンマー
クでは、生体豚・豚肉輸出が好調であることが引き続き増産の背景にある。

 また、同時に公表された2000年3月までの豚と畜見込み頭数(前年同期比)
は次のとおりである。

期 間

前年比(%)

前年/前々年実績(%)

  99. 4- 6

     +5.1

      +5.9

      7- 9

     +0.9

     +10.7

     10-12

     -3.1

     +12.2

2000. 1- 3

     -4.3

      +8.1

 これによると、豚と畜頭数は、99年第4四半期以降減少に転じるとみられてい
る。国別では、最大生産国のドイツ(同3.6%減)、フランス(同1.5%減)
で99年第4四半期から減少に転じる。また、主要生産国のうち減産が遅れている
スペイン(同5.7%減)、デンマーク(同1.0%減)では、2000年第1四
半期に減少に転じるとしている。

 近年の豚肉生産者価格を見ると、需給の緩和を背景として97年夏以降急速に価
格が下落した。EUでは、数次にわたる豚肉輸出補助金の引き上げや民間在庫補助
等の対策を講じているが、98年末から記録的な低水準となっていた。

 ところが、99年5月〜6月に複数の加盟国において急速に豚肉価格が上昇した。
例えば、フランスでは6月に豚肉価格が30%上昇した。この要因は、季節的な需
要増加と6月に発生したベルギーにおけるダイオキシン汚染問題の影響とみられて
いる。このため、この価格上昇は一時的なものとみられており、豚肉需給の好転に
よる本格的な価格の上昇は早くとも99年秋以降になるとみられている。


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