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【デンバー駐在員 本郷 秀毅 7月19日発】現在、カナダには、オーガニック 農産物および食品を認証する機関が45ある。これらの機関は、主に地域に根ざし た生産者所有の機関であり、それぞれの地域ごとの多様な利害と価値観を代表して いる。 これに対し、ケベック州とブリティッシュ・コロンビア(BC)州では、最近、 州独自のオーガニック農産物の生産・加工基準を策定するとともに、基準への認証 プログラムを制定した。ただし、ケベック州ではオーガニック基準への適合が強制 であるのに対し、BC州では任意とされている。 オーガニック食品に係る生産者と消費者の情報ネットワークであるカナダオーガ ニック栽培者協会(COG:Canada Organic Growers)によれば、95年現在、認 可されたオーガニック生産者は、1,575人であり、89年の推定値に比べ3倍以 上に拡大している。また、同生産者の数は、97年までに1,830人に増加し、 さらに、オーガニック生産に移行中の生産者が179人いるとしている。 オーガニック食品の市場規模は、95年現在、小売食品市場の約1%を占め、年 率15〜25%の割合で成長しているものと推定されている。また、オーガニック 食品は、通常の食品に比べ、少なくとも10〜50%高で販売されている。 カナダ連邦政府は6月29日、オーガニック農産物に関する全国基準を公表した が、この基準は、次の6つの原則が基礎となっている。 @環境の保護、土壌浸食の最小化、汚染の削減、生物学的生産性の最適化、健康の 促進、A土壌の生物学的活動条件の最適化による長期的な土壌の肥よく性の補給お よび維持(家畜ふん尿リサイクル、輪換放牧等)、B経営体内外の多様性の維持お よび野生動植物の生物学的多様性の保護促進、C経営体内の資源リサイクルの最大 化、D家畜の健康および活動上の必要性を促進する注意深い管理の提供(オーガニ ック飼料の給与、倫理的飼養等)、E最初の取り扱いから販売時点に至るまでのオ ーガニック食品および加工品の統一性の維持。 以上のような原則を踏まえ、今回の基準では、食品の保存を目的とした放射線照 射、遺伝子組み換え作物、下水汚泥の使用を禁止することとしている。また、合成 化学肥料、殺虫剤、成長調整剤、抗生物質などの家畜飼料添加物の使用も禁止して いる。 今回の基準には、オーガニック農業への転換期間、生産計画および記録、農産物 および家畜の生産、オーガニック食品の加工、包装、表示、貯蔵および販売、認可 物質のリストなどが規定されており、現在、米国で提案されているオーガニック基 準案にほぼ準拠した内容となっている。
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