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アルゼンチンの牛と畜頭数、99年は平均水準に回復か



【ブエノスアイレス駐在員  浅木  仁志  5月27日発】アルゼンチンの牛と畜頭数
は、94年以降おおむね減少傾向で推移してきたが、99年のと畜頭数は、前年の
家畜保留の傾向から一転して市場への供給が増え、97年以前の平均水準に回復す
ることが予想されている。

 アルゼンチンの牛と畜頭数は94年以降おおむね減少傾向で推移してきており、
98年は90年代で最も少ない水準にあった(グラフ参照)。

 一般にと畜される牛は去勢牛と雌牛で8割前後を占め、残り約2割が子牛と雄牛
である。96、97年の雌牛のと畜率(雌牛と畜頭数÷全と畜頭数×100)は4
3〜46%であったが、98年は上半期の牛群再編の兆しを反映し、40%以下に
落ちている。

 アルゼンチン農牧庁は、99年の牛と畜頭数を1,270万頭、枝肉換算で26
5万トンと推計している。と畜頭数が97年以前の平均水準近くに回復する理由と
しては、98年半ばから安値を恐れた農家が競って市場に出荷したことに見られる
ように、農家の家畜保留の傾向が弱まり、98年に比べ市場への供給が増えると予
想されることを挙げている。しかし、家畜の繁殖や肥育の出来不出来は天候や牧草
の生育に左右されるので、99年を通しては、それほど多くの回復は期待できない
としている。

 なお、平均枝肉重量については、去勢牛で見ると、95年が248kgと底だった
が、その後、農家の家畜保留の傾向が強まったため、98年は257kgと90年の
水準に戻っていた。

 と畜頭数におけるシェアは低いものの、97年から98年にかけてブームとなっ
たフィードロット肥育の動向も、と畜頭数の増減に少なからず影響を与えるとみら
れている。

 98年の1,135万頭のと畜頭数のうち150万頭はフィードロットで肥育さ
れた牛であった。その多くは国内向けである。同国のフィードロットはそのほとん
どが企業経営であり、約500社となっている。そのうち5,000頭以上の規模
を持つものが25社である。フィードロットでは6〜7ヵ月齢、生体重160〜1
80kgの肥育素牛が導入され、約90日間で230〜260kgに仕上げられる。フ
ィードロットで肥育される牛の約50%は未経産牛で、約25%は去勢牛である。
若齢の未経産牛が好まれるのは、肉の柔らかさと多汁性のためと言われている。

 98年の後半から、肥育素牛価格はさほど安くならず、肥育牛は高値で売れない
状況で、フィードロットに投資する投資家も減少したが、それでも99年は約10
0万頭がフィードロットで肥育されると予想されている。


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