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ヨーネ病対策を強化(豪州)



【シドニー駐在員 野村 俊夫 6月25日発】豪州では、数年前から羊と牛にヨー
ネ病の発生が拡大し、関係者がその対策に苦慮してきたが、このたび、それぞれの
畜種ごとに同病の監視地域を指定して地域外への家畜の移動を規制するゾーニング
システムを導入することが決定された。

 ヨーネ病は、主として羊や牛などの反すう家畜に見られる細菌性の伝染病で、発
病すると慢性の下痢、乳量の急激な減少、貧血、体重の減少などの症状を示し、悪
化すると死亡に至ることもある。

 病畜の便に含まれる細菌が畜舎内や放牧地の土壌中に長期にわたって生存して感
染源となるうえ、潜伏期間が長い(1ヵ月から数年)こともあって、いったん発生
するとこれを完全に撲滅するのは容易なことではない。

 現在に至るまで有効な治療法は発見されておらず、病畜の早期発見と徹底的なと
う汰のみが確実な対策とされている。人体に伝染する可能性はないものの、畜産経
営にとっては経済的に多大な被害を与える厄介な疾病である。

 豪州では、80年代には影を潜めていたものの、90年代に入るとニューサウス
ウェールズ(NSW)州とビクトリア(VIC)州で羊および乳牛を中心に同病の
発生件数が増加した。

 これまで、同病が発生した場合には、発生牧場からの家畜の販売や移動を禁止す
る防疫措置が取られてきたが、今回は、行政区分により同病の監視地域(ゾーン)
を指定して、域外への繁殖用家畜(去勢およびと畜向けを除く)の移動を禁止する
措置が取られることになった。

 このゾーニングシステムは、羊については7月1日から、牛については8月1日
から、それぞれ適用される。

 このうち、羊については、NSW州のみが指定の対象となり、南東部のゴールバ
ーン地区など、いくつかの行政区分が監視地域に指定された。VIC州では、97
年に同病の発生が確認されたが、速やかに6万頭以上をとう汰するなどの措置が取
られたことが奏功し、今回の指定からは他州とともに除外された。

 一方、牛については、VIC州の乳牛を中心に多く発生しており、同州は全域が
監視地域に指定されたほか、NSW州も、VIC州と隣接するワガワガ地区などの
南部、およびカシノ地区などを含む東部海岸地域のほぼ全域が監視地域に指定され
た。なお、クイーンズランド州の全域と、NSW州の残りの地域はすべて清浄地域
とされた。

 今後、監視地域から繁殖用家畜を移動する場合には、それぞれ畜種ごとに定めら
れた検査(血液検査など)を受けて病畜でないことを証明しなければならなくなる
ため、特に、肉牛のブリーダーなどの経営には大きな影響を及ぼすとみられている。

 特に、両畜種ともに州内に監視地域と清浄地域の両方を抱えることとなったNS
W州では、生産者が今回の措置に困惑しており、政府に財政支援の拡大を求める意
見も強まっている。

 行政側は、今後、監視地域の見直しを行うとしているものの、今回の措置の影響
が長期化することが懸念されている。


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