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【デンバー駐在員 藤野 哲也 6月23日発】米農務省(USDA)が実施する 環境政策のうち、土壌保全留保計画(CRP)は、96年農業法による改正後では 4回の契約申し込みが実施された。CRPは従来、生産調整的要素の強かった事業 であるが、これらの結果を見ると野性動物保護などの環境保護政策として機能して いることがうかがえる。 CRPは、85年農業法で導入されて以来継続して実施されており、USDAの 環境政策の根幹の1つとなっている。本事業は、土壌浸食の防止や水質保全、野性 動物保護のため、農地を農業生産から隔離し、農地所有者が長期的な土壌保全利用 を行う場合に、10〜15年間の借地料および土壌保全経費の一部(50%以内) を助成するものである。なお、96年農業法において、CRPの契約対象面積の上 限が2002年まで3,640万エーカー(約1,470万ha)とすることが定めら れている。また、これに伴うUSDAのCRP規則改正によって、環境便益指数 (EBI)および借地料の入札制度が導入された。 EBIは、@野性動物保護(100ポイント、以下略)、A水質保全(100)、 B土壌浸食低減(100)、C永年性(50)、D大気保全(35)、E保全優先 地域(25)の環境6要素および費用(150、借地料の入札価格が低ければ高ポ イントとなる。)により算出され、最大は560ポイントとなっており、このポイ ントが高い順に契約が行われる仕組みとなっている。 98年末に実施された第18回目(96年農業法による改正後4回目)のCRP 契約申し込みの結果、約5百万エーカー(約2百万ha)の農地が承認され、99年 10月1日現在のCRP契約対象面積は3,130万エーカー(1,270万ha)と なる見込みとなっている。なお、98年2月に発表された水質保全アクションプラ ンに基づき、CRP対象面積の4百万エーカー(160万ha)が留保されているこ とから、今後、大規模な契約申し込みの予定はないと言える。 USDA経済研究所(ERS)の「Agricultural Outlook」6・7月号では、96年 農業法による改正後に実施されたCRPの過去3回(第15、16、18回。第1 7回については、継続申し込みのため除外)における契約概要を紹介している。 これによれば、平均EBIは、契約回数を重ねるごとに増加しており、第15回 (申込期間:97年3月)259ポイント、第16回(同97年10〜11月)2 79ポイント、第18回(同98年10〜12月)282ポイントとなっている。 中でも@野性動物保護の要素については、かん木や草木などの土壌被覆作物の植 え付けにより、第15回50、第16回63、第18回68とそのポイント数が上 昇している。加えて、耕作湿地の修復に係る契約面積のシェアは、第15および1 6回が5%であったものが、第18回には9%と増加している。 一方、CRPの対象となる土壌浸食指数(EI)が8以上の環境的にぜい弱な農 地の契約面積シェアは、第15回の85%から第18回の66%へと減少しており、 当該対象農地が早めに契約を済ませていることがうかがえる。このため、B土壌浸 食低減は、第15回53、第16回41、第18回37とポイント数も減少してい る。 また、借地料は、入札制度により第15回では、従前と比較して大幅に減少した ものの、その後、中西部地域の契約の増加に伴い上昇傾向で推移している。
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