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アルゼンチン、リニエルス家畜市場の肉牛取引



【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 10月13日発】タイの鶏肉処理加工業
(以下「加工業者」という。)は、EUが求める輸出基準をアルゼンチンの首都ブ
エノスアイレス市に立地するリニエルス家畜市場は、年間約181万頭(98年)
の肉牛が取り引きされ、世界でも有数の規模を誇る。これは、全国のと畜頭数の約
16%に相当し、家畜は主にパンパ地域のと畜業者に買い取られる。

 同市場は、1901年に国営の家畜市場として設立されたが、91年以降は、1
00の仲買人業者により組織されたメルカドデリニエルス株式会社により、市場の
管理運営が行われている。

 市場開催日は、毎週月曜日から金曜日(祝祭日を除く)で、取引は15〜30頭
の群セリ方式により、生体1kg当たりの価格で行われる。牛群は出荷者単位で、
基本的に、品種、年齢、肉付きにより分類される。市場へは前日に搬入され、取引
の翌日にと畜されるのが一般的である。

 同市場の取引価格は、同国の肉牛取引の主流である直接取引における価格決定の
基礎になるものである。また、サンタフェ州のロサリオ先物取引所で、9月1日か
ら、去勢牛の先物取引とオプション取引が導入されたが、これらの指標価格は、同
市場の381kgから480kgの去勢牛の取引価格を基礎に算定されている。

 アルゼンチン農畜産品衛生事業団(SENASA)は、口蹄疫などの家畜伝染病
の予防対策の一環として、83年以降、リニエルス家畜市場における家畜取引を、
取引後、直ちにと畜されるもののみに制限してきた。しかし、同国が99年5月、
口蹄疫ワクチン接種の中止に踏み切ったことや、同市場における衛生管理体制が強
化されたことを背景に、SENASAは、10月1日以降、衛生証明書の添付を条
件に、肥育仕向けの家畜を取引後、他の生産現場へ搬出することを許可する決議を
採択した。

 今回の措置について、リニエルス家畜市場の関係者は、従来、望ましい仕上がり
状態に至らない肥育牛については、直接取引の際、バイヤーによって買いたたかれ
たり、また、市場出荷時の輸送コストを節減するため、早期の段階でと畜に回され
たりしていたが、今回の措置により、飼い直しを必要とする肥育牛の市場出荷が可
能となったことから、取引の選択肢が増えた生産者にとって、メリットは大きいと
している。なお、家畜市場を通さない供給ルートが確立されている肥育素牛につい
ては、影響は少ないとみている。

 リニエルス家畜市場における98年の取引結果は、次の通り。

頭数

(千頭)

割合

(%)

1頭平均

体重(kg)

1kg平均

価格(ドル)

去勢牛

580

32.1

445

1.06

若齢去勢牛

291

16.1

363

1.10

経産牛

330

18.3

426

0.67

未経産牛

355

19.7

300

1.09

子牛

213

11.8

229

1.29

種雄牛

37

2.0

616

0.73

   計

1,806

100.0

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資料:アルゼンチン農牧水産食糧庁				




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