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米国、波紋を呼ぶ巨大養豚企業の買収



【デンバー駐在員 樋口 英俊 10月13日発】豚肉の一貫生産企業(インテグ
レーター)で、豚肉生産では世界最大規模を誇るスミスフィールド社(本社バージ
ニア州)は、9月2日に全米最大の養豚企業であるマーフィー・ファミリー・ファ
ーム社を買収すると発表したのに続き、9月29日にはタイソンフーズ社の養豚部
門を買収することを明らかにした。

 スミスフィールド社は、これらの取引が来年早々にも終了することを見込んでい
るが、これらが実現された場合、スミスフィールド社の母豚数は、70万頭を優に
超えるとみられており、これに次ぐコンティグループ社を5倍弱、第3位のシーボ
ード社を6倍の差で引き離すことになる。

 また、年間出荷頭数についても、1千3百万頭から1千8百万頭程度の出荷が見
込まれるとされており、この結果、業界筋の情報では、全米の年間出荷頭数の約1
5%のシェアを占めるものとみられている。

 スミスフィールド社は、今年の春にも全米第3位の規模を有していたキャロルズ
・フーズ社を買収しており、ノースカロライナ州、サウスカロライナ州、ユタ州、
バージニア州などで肉豚の生産を行っている。

 スミスフィールド社の圧倒的な巨大化には、各方面から懸念の声が上がっており、
グリックマン米農務長官は、マーフィー・ファミリー・ファーム社買収の発表後、
レノ司法長官に書簡を送り、本件について、公正で十分な競争を妨げないか、中小
養豚農家とその地域社会に悪影響を及ぼさないかといった観点から慎重に調査を行
うよう要請した。

 また、全米最大の豚飼養頭数を有し、家族経営の多いアイオワ州選出のハーキン
上院議員も、同社の相次ぐ買収は、豚肉産業の垂直統合を強力に推進するもので、
米国の農村社会に悪影響を及ぼすものと批判し、司法省の独占禁止法担当者に最大
限の厳しさを持って調査に当たるよう要望を出している。

 司法当局の判断については、97年にタイソンフーズ社がハドソンフーズ社の買
収を発表した際、鶏肉市場の2割強のシェアを占めることが見込まれたにもかかわ
らず、司法省は躊躇(ちゅうちょ)することなくこれを認めた経緯から、今回も同
様の結果となるのではないかと見る向きもある。一方で、豚価の低迷が続いており、
その一因とも指摘されるインテグレーターの巨大化は、鶏肉の事例とは状況が異な
ることから、今後どのような判断が下されるのかが注目される。
(参考)米国の養豚企業ランキング(推定)

順位

企業名

母豚頭数(頭)

スミスフィールド社

 785,000a)

コンティグループ社

162,000

シーボード社

145,000

プレスティージファーム社

121,000

カーギル社

110,000

資料:Successful Farming

注:a)2件の買収を含む。




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