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【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 9月15日】ブラジルは米国、中国に次 ぐ世界第3位の鶏肉生産国である。 98年の生産量は450万トン、国内消費量が389万トン(各骨付きベース)、 輸入量は1千数百トン程度で、輸出量は61万トン(36万トンは丸どりで、25 万トンは部分肉;輸出額(FOBベース)7億4千万ドル(814億円:1ドル= 110円))である。 過去10年、生産、国内消費、輸出ともおおむね増加傾向で推移している。この 背景には国民の健康志向を反映し年間1人当たりの消費量が増えていること(90 年の14.3sから98年の24.1kg)、生体鶏価格と生体去勢牛価格の相対価 格(生体鶏単価/生体去勢牛単価)が低下して推移、すなわち鶏肉の国内価格競争 力が年々強くなっていることなどがある。なお、ブラジルの生体鶏庭先価格の推移 をアルゼンチンとの比較でグラフにした(99年は9月の直近値)。 輸出量のうち、約45%は中近東向けで、約30%はアジア向けである。国別で はサウジアラビアが30%弱、日本が20数%のシェアを保ち、香港、アルゼンチ ン、ドイツ、スペインと続き、ロシア、イギリスが新しい市場として開拓されつつ ある。 ブラジルのブロイラー産業に競争力があるのは、@92年頃から積極的に技術導 入を行い、生産効率が高まったこと、A労賃など生産コストが低いこと、B輸出促 進のためのプロジェクトに民間レベルで投資がなされていること、C市場の要求に きめ細かく対応していること(平均出荷体重:輸出用1.5kg(アルゼンチン向け は2.6kg)、国内消費用2.1kg)などで、こうした要因にレアル(ブラジル通 貨単位)の切り下げが拍車をかけたというのが実態のようだ。その結果、ブラジル のブロイラー産業は輸出競争力を持ち、タイの従来市場を脅かしている。 99年の生産量と輸出量は骨付きベースでそれぞれ470〜80万トン、70万 トン(輸出額9億ドル(990億円))と増加が予測されている。
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