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NZ商業委員会が乳業メーカー合併に難色



【シドニー駐在員 野村 俊夫 9月17日発】ニュージーランド(NZ)では、
乳製品の国際市場をめぐる輸出競争に生き残るべく、乳業メーカー(すべて酪農組
合による経営)の合併・合理化が数年前から急速に進められており、既に大手2社
を中心とする勢力に整理統合されている。

 本年4月には、その大手2社を含めた8社がさらに合併し、国内生乳生産量の9
5%以上(年間約1千万トン)を扱う巨大な乳業メーカーを結成する計画が浮上し
た。翌5月には、大手2社が合併に原則的に合意し、原料乳製品部門と高付加価値
乳製品部門を分割するなど、新メーカーの具体的な枠組みが検討されていた。

 一方、当該合併を実現させるには、国内独占を監視する独立機関であるNZ商業
委員会(コマース・コミッション:CC)の承認を得、さらに、各メーカーの出資
者である酪農生産者の大多数の賛同を得るという手続きを経ることが求められてい
た。

 このうち、CCは、国民に及ぼす経済的影響という面から当該合併を審査してい
たが、8月27日、年間5億NZドル(約325億円:1NZドル=65円)の損
失を生じるという否定的な中間報告を発表した。CCは、その理由として、新メー
カーが独占的立場を利用して酪農生産者に低乳価を強いる可能性が高いと指摘した。
さらに、CCは、酪農乳業界に対し、9月17日までに48項目の関連質問に回答
するよう要求した。

 これに対し、事態を重く見た酪農乳業界は、拙速な対応は危険と判断し、CCに
回答期限の大幅延期を求めて了承された。当初、酪農乳業界は、CCによる合併の
承認を受け、10月には生産者投票を実施して、新メーカーの結成を一気に決定す
る積もりであったが、今回の中間報告により、この予定が大幅に遅延することは避
けられない見通しとなった。現在、生産者投票は来年2〜3月に延期されるとみら
れている。

 一方、政府は、規制緩和推進の一環として、ニュージーランド・デイリー・ボー
ド(NZDB)の乳製品一元輸出権限の緩和を含むデイリー・ボード法の改正法案
を議会に提出しており、11月の国政選挙の前に是が非でも成立させようとしてい
る。政府は、CCの中間報告に左右されることなく法改正作業を進めるとしている
が、生産者投票の延期により、国政選挙に臨むに当たっての当初のもくろみは大き
く外れたことになる。

 さらに、政府や業界指導層によるあまりにも急激な改革の推進に対し、酪農生産
者の間にもいら立ちと反発が強まっている。9月初旬には、大手酪農組合の役員選
挙で、現職のNZDB会長が落選するという大波乱があった。その後、同会長は、
NZDBから離職することになったが、改革推進の中心人物であっただけに、その
影響が懸念されている。NZの酪農乳業改革は、正念場にさしかかり、目が離せな
い状況になっている。


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