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米国、対中国WTO加盟交渉を再開



【デンバー駐在員 樋口 英俊 9月16日発】バシェフスキー米通商代表部(U
STR)代表と中国の石広生・対外貿易経済協力相は9月12日、前日のクリント
ン大統領と江沢民国家主席の会談結果を受け、中国の世界貿易機関(WTO)加盟
交渉を再開した。

 中国のWTO加盟交渉については、4月に朱首相が訪米した際、農業市場アクセ
スなどにつき合意に達したものの、銀行・証券、繊維、セーフガードの問題などで
折り合いがつかず、結局、加盟自体の合意には至らなかった。

 その後、4月後半に交渉が行われたものの、5月にはベオグラードの中国大使館
爆撃事件が発生したことで両国関係が悪化し、加盟交渉もストップしたままとなっ
ていた。

 USTRが4月8日に発表した農業関係の交渉結果には、@中国の農産物に関す
る平均関税率を17%に引き下げること、A小麦、トウモロコシなどについては関
税割当制度を導入し、関税割当内の関税水準をおおむね1〜3%とすること、B食
肉、かんきつ類および小麦に関する検疫衛生規則に基づく輸入禁止措置を撤廃する
こと、C主要商品に対する国家貿易企業の役割・関与を削減すること、D輸出補助
金を撤廃することなどが含まれており、農業関係者は、一様に歓迎の意を表明して
いた。

 バシェフスキー通商代表は、交渉に先立って行われた記者会見の席上、これらの
合意事項について、今後の加盟交渉の出発点になるものと位置付けている。

 一方、米国際貿易委員会(USITC)は先頃、USTRの委託を受けて実施し
た中国のWTO加盟が米国経済に与える影響調査結果の概要を発表した。

 これによれば、全体として、中国側がオファーした関税の低減、輸入割当、輸入
ライセンス制度の削減、入札制度の改善などにより米国の輸出機会は増大し、米国
経済にも良い影響を与えると、中国のWTO加盟を肯定的にとらえている。

 農産物の分野でも、米国の優先品目(小麦、トウモロコシ、米、大豆油など)に
ついて言及されており、関税割当数量が現在の輸入水準より高く設定されているこ
とから、輸出機会は大幅に増えるものと見込んでいるが、これらから得られる利益
は、中国の国内農業政策、WTOの規定上明確な規律が与えられていない国家貿易
企業の役割に加えて、輸出競争相手国の動向などの要因に影響を受けるだろうとし
ている。

 米国政府高官によれば、加盟時期の目標は今年中とされているが、これを実現す
るために中国政府は、米国以外にも、EUその他の利害関係を有する各国と交渉を
行わなければならず、また、加盟に伴う膨大な事務手続きもこなさなければならな
い。このような状況の下、限られた時間の枠内で中国政府が、今後どのような対応
をしていくのかが注目される。


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