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【シンガポール駐在員 外山 高士 4月13日発】マレーシアの養鶏農家組合は、 国内取引消費者行政省と農業省との3者協議の結果、鶏肉の統制価格を引き下げる ことに同意した。現在の統制価格は、農家販売価格で1kg当たり4.0リンギ (約108円:1リンギ=約27円)、小売価格(中抜き)で6.0リンギ(約1 62円)となっている。引き下げ後の価格については未発表であるが、昨年までの 統制価格である農家販売価格4.0リンギ(約108円)、小売価格5.4リンギ (約146円)程度になるものとみられている。 鶏肉の統制価格は、95年に鶏肉の供給不足をきっかけに導入され、98年に農家 販売価格、卸売価格、小売価格のそれぞれに上限価格を決定し、この価格以下での 販売を義務付けるものとして実施されている。98年3月現在では、統制小売価格 は1kg当たり5.4リンギ(約146円)であった。 鶏肉需要は、98年から99年にかけて同国内で発生したウイルス性脳炎の影響に より、豚肉の消費が鶏肉へと移行したことから急増し、慢性的な供給不足の状態と なっていた。さらに、99年末からクリスマスや旧正月などの行事において、多く の鶏肉需要が発生したことからその価格が急騰し、上限である統制価格を超えて販 売される事例が見られるようになっていた。 これに対して、消費者団体などは、食肉小売店での公正な価格による販売を求める ため、当時の統制小売価格である1kg当たり5.4リンギ(約146円)を超え て販売している鶏肉を購入しないよう、ボイコット運動を12月23日から展開し、 鶏肉市場に大きな混乱を招いた。このため、国内取引消費者行政省では、高騰する 小売価格を追認する形で、統制小売価格の上限を、1月9日から1kg当たり6. 0リンギ(約162円)とすることで事態を収拾した。 しかし、3月中旬のイスラム教の祝日以降、鶏肉の価格は低下し、鶏肉販売量の約 75%を占めるウェットマーケットでの平均販売価格は、1kg当たり4.8リン ギ(約130円)、農家販売価格も2.99リンギ(約81円)と、高騰する前の 価格より安くなり、落ち着いた値動きを示している。 今回の3者協議では、国内取引消費者行政大臣が、現状価格から見ても統制価格の 引き下げには妥当性があり、統制価格を引き下げても生産コストを下回らないとし ていた。一方、養鶏農家組合では、以前、生産コストを下回って価格が低下してい たことを挙げ、引き下げの見送りを要望していた。また、農業大臣は、養鶏農家は 重要な鶏肉供給元であり、農家経営が安定し、消費者に受け入れられる水準で統制 価格が決定されるべきであるとしていた。しかしながら、統制価格を引き下げたと しても、現状では、再生産が確保されるとして、養鶏農家組合では、統制価格の引 き下げを受け入れたものとみられている。
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