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アルゼンチン、輸入凍結精液に新たな衛生条件



【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 2月2日発】アルゼンチンは約170万
本(99年)の牛凍結精液ストローを輸入し、その多くは米国(78%)、カナダ
(17%)からのものである。牛輸入精液の94%が乳用種で、乳用種のうち92
%はホルスタイン・フリージアン種である(ストローベース)。輸出は約8万9千
本(99年)、大部分が肉用種で最近はブラジル、ウルグアイ、パラグアイ向けで
ある。

 輸入凍結精液の衛生管理については、従来2国間の衛生協定で対応してきたが、
昨年農畜産品衛生事業団(セナサ)は統一した輸入条件を取りまとめた(99年8
月、決議899号)。

 ただし、この新しい条件に照らし合わせると既に出荷準備中の精液が輸出できな
くなるとして、米国とカナダが反発、国内でも反対する団体があり、セナサは99
年10月の決議で、既に取引のある国に限って新しい条件を当面見合わせる措置を
取った。これにより、新しい条件が課せられるのは新規の輸出国のみとなった。当
面の期間については特段の定めがなく、現在検討中のようである。

 新しい条件の特徴は、以下の通りである。
@ 条件の設定に当たり広く大学や民間の専門家などの意見を取り入れた。

A 牛海綿状脳症(BSE)発生国からの精液輸入について、従来の科学的根拠の
 ない輸入禁止措置を廃し、国際獣疫事務局(OIE)の基準を順守し、科学的根
 拠に基づき対応するようにした。これについては、農業団体からの反発があった
(近年、欧州からの牛精液輸入はスペインとスウェーデンのみで、これら2国はB
 SEに汚染されていない国である)。

B 輸出国の精液輸出に関連する各業者の衛生条件はもちろんのこと、それらが立
 地する地域の衛生条件も考慮した。

C 輸出国に対して、輸出用の精液を採取した後、種雄牛を45日間管理し、その
 間決議899号に定められた病気が発生しないことを確認した旨の公的証明を要
 請する。この措置に対して、米国とカナダが反発している。

 精液の輸入、管理、販売などは、精液銀行や人工授精センターと呼ばれる民間セ
クターが行い、こうした業務に直接公的機関はかかわっていない。また、Cabana
(カバーニャ)と呼ばれる育種家は自ら種雄牛(中には人工授精センター)を所有
している点が前述の2つと異なるが、輸入精液も扱う民間組織である。

 なお、凍結受精卵については、輸入に際して統一された条件は設定されていない。
99年は2,435個の牛凍結受精卵が米国とカナダから輸入された。

 今後、既存の精液輸出国に新しい条件を義務付ける問題が残されている。


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