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【シドニー駐在員 藤島 博康 2月3日発】オーストラリア豚肉輸出連合会(C APE)は、1月28日に主催したセミナーで、2002年までに、現在の水準の 約2倍以上、国内豚肉生産量の約2割に当たる7万2千トンの輸出を柱とする一連 の輸出拡大計画を発表した。一昨年の豚肉価格低迷時には、連邦政府に対し輸入制 限を求めるなど大きく揺れた豚肉業界だが、輸出推進に向けて体制を整えつつある。 今回行われたセミナーでは、豚肉の輸出促進機関であるCAPEの組織体制が説 明されるとともに、輸出促進に向けて、シンガポール市場では「新鮮」、日本市場 では「安全と衛生」をキーワードとする輸出戦略が公表された。 CAPEのマーケティング・マネージャーのジャミソン氏は「今現在、豪州はシ ンガポールが輸入する豚肉の約3分の1を供給しており、その98%はチルド枝肉 の空輸による」とし、「豪州産豚肉のメリットは新鮮さにある」としている。今後、 シンガポール市場では、豪州産の「新鮮さ」を消費者に強調するためのロゴとスロ ーガンが準備されている。 また、ジャミソン・マネージャーは、日本市場については食品としての安全性や 衛生面が重要であるとし、抗生物質の使用制限や、ホルモン剤などの不使用を訴え た。 このほか、輸出振興の一環として、商品ラベルとして豪州産豚肉を象徴する統一 マークが検討されている。 CAPEは、生産者課徴金を主な財源として運営される豪州豚肉公社(APC) に設置された輸出振興機関。一昨年の豚肉価格低迷時における連邦政府の豚肉業界 支援策の一環である財政援助と、APCと特定豚肉パッカーの資金供出により昨年 4月に結成された。 豪州の豚肉輸出は過去3年間で急激に増加し、99年の輸出量は、96年の4倍、 98年より倍増、また、国内生産量の9.2%に当たる3万2千トンに達した。こ れは、主に、97年の台湾での口蹄疫発生による日本向けの増加、また昨年のマレ ーシアでのニパ・ウイルス発生によるシンガポール向けの増加といった、偶然のア クシデントに支えられた側面が強い。 豪州の豚肉産業は、生産量ではわが国の3分の1にも満たず、本来的には需給均 衡型である。また、雄は非去勢肥育がほとんであることや、牛肉部門以上に非効率 なと畜加工など、輸出拡大向けて克服すべき課題は多い。
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