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EUにおける動物愛護の推進について



【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 2月17日発】EU委員会のバーン公衆衛生/
消費者保護担当委員は、16日、動物愛護・保護に関して欧州議会グループと会談
し、動物愛護の今後の課題等について次のように述べた。

(総論)
 動物愛護は、ヨーロッパ市民の大きな関心事である。動物愛護に関する大衆の強
い感情は、手紙で毎日多く届けられている。

 EUにおける法整備に改善の余地があることは確かであるが、問題の多くは加盟
国による実施不備から生じている。EU規則の実行強化がまず必要とされている。
加盟国は動物愛護の推進についての責任をよく自覚すべきである。基本的な実行責
任は加盟国にあり、各国の実行機関はEU規則に沿うために必要な対策を講じなけ
ればならない。

 EU委員会には、EU最終条約の動物愛護に関する附属書に基づき、動物愛護規
則の立案および実施について十分かかわっていく使命がある。

 先の食品安全白書においては、EU委員会は動物愛護問題が食品政策によりよく
統合される必要性を認識した。動物愛護問題は同白書で提案された欧州食品安全庁
の仕事になると見込まれる。

(当面の課題)
 まず、船舶による動物輸送に係る基準に関する理事会指令を提案する予定である。
船舶の認可条件も含め、積み込み、積み降ろし、畜舎(囲い)、船舶上の動物管理
の改善等に言及すべきと考えている。

 次に、常設獣医委員会へ今年中頃までに、動物輸送車両の機械による換気基準を
提案する予定である。

 輸送途中の寄宿地における豚積み降ろし基準に関する理事会指令(91/628
/EEC)の修正については、EU委員会が提案済みである。繁殖用の牛への同様
な規則の必要性も検討中である。

 今年の後半には、雌豚の群飼育において、社会行動パターンを確保するための飼
育規則など、農場における動物愛護対策を取り上げたい。

 動物愛護に関する科学小委員会では、毛皮動物飼育における動物愛護に関するレ
ポート作りを開始した。また、肥育牛飼育に関するレポートも予定している。

 EU委員会では近々各国の動物輸送規則の実行状況を取りまとめ、報告する予定
である。実行確保の観点から、繁殖・と畜目的の動物輸出に関し、域外国との2国
間協定の締結可能性を探求したい。

 域外国での輸送者にEU動物輸送規則を適用することと世界貿易機関(WTO)
規則との整合性には強い疑念を持っているが、国境においては適切に実行する必要
がある。このことは、EU加盟申請国との交渉での論点となるだろう。

 国際レベルでの動物愛護については、シアトルでのWTO会議で、動物愛護に関
しEUへの支持がほとんどないことが明らかになった。しかしながら、この問題が
WTO交渉の議題に載るよう引き続き努力する必要がある。WTOにおける多国間
協議は、国際的な動物愛護基準向上には最善の手段である。 


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