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【ワシントン駐在員 樋口 英俊 2月17日発】全国肉牛生産者・牛肉協会(N CBA)は、1月末にアリゾナ州フェニックスで年次総会を開催し、今後の政策案 件などについての運動方針を決定した。 この中で、ネブラスカ州選出上院議員などから提案されている食肉処理加工業者 (パッカー)による肉用牛の所有制限の法制化については、長時間の議論の末、こ れを支持しないことが決定された。 会議では、パッカーの肉用牛所有が進んだ場合、肥育牛の価格情報が不足するこ とにより、適正な価格形成が妨げられるなどの理由から、この提案を支持する意見 が出された一方で、@連邦政府の関与を許すこと自体が好ましいものではない、A 生産者組織によるパッカーの経営に影響を及ぼす可能性がある、B繁殖、育成農家 による肥育素牛の販売オプションが減るなどの反対意見が述べられた。 パッカーの肉用牛所有を制限する法案は、今後の議会において活発に議論される とみられてきたが、全米の肉牛生産者を代表するNCBAの今回の決定によって法 制化への勢いが急速に衰えるとの見方も出されている。 一方、貿易問題については、世界貿易機関(WTO)の新ラウンド交渉に積極的 に関与していくことが決定された。特に、米国に対して工業製品の輸出で大きな黒 字を抱える国々については、2国間協議により、大幅なアクセスを得られるよう米 国政府に働きかけていくとしている。 米国産ホルモン使用牛肉に関するEUの輸入禁止措置については、問題の解決を 図るため、効果的な報復措置やWTOでの適切な措置の実施に向けて、引き続き米 国政府関係者と協力していくことが確認された。 このほか、家畜生産者がすべての連邦災害救済計画の対象となるよう必要な手段 を講じていくこと、牛肉の安全性を高めるための腸管出血性大腸性O157に関す る疫学調査の実施や、食肉製品への栄養表示に関する自主的な取り組みをサポート していくことなども決定された。 今回の総会では、昨年スワン前会長が任命した16人のメンバーからなるブルー リボン委員会の提出したNCBAの組織改革に関する提案も議論された。この中で は、@投票権のある委員会メンバー数の削減(361から238へ。なお、実際の 削減数は、これより少なくなるものとみられる)、A個人会費の値上げ(60ドル (約6,600円:1ドル=110円)から70ドル(約7,700円)へ)、B州 牛肉委員会連合会などの副委員長ポストの廃止、Cチェックオフ関連部門の名称変 更などが合意された。 一方、NCBAを生産者の意見がより反映される組織とするため、政策部門での 投票資格を肉用牛生産者に限定することも提案されたものの、これについては実現 に至らなかった。
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