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過去最高の99年アルゼンチン生乳生産
【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 6月14日発】アルゼンチン農牧水産 食糧庁(以下、農牧庁という。)によると、99年の生乳生産量は、前年を8.1%上 回る1,031万1千キロリットル(暫定値)となり、過去最高であった前年の記録を 更新した。同国の生乳生産量は、91年以降、施設の近代化や加工処理能力の拡張 などを背景に、年々増加してきた。 用途別では、飲用向け生産量が前年比9.2%増の244万2千キロリットル、加工向 けが7.8%増の786万9千キロリットルとなった。同国の生乳生産は、パンパ地域を 中心に行われ、州別シェアでは、サンタフェ州が35.5%と最も多く、次いで、コ ルドバ州が34.5%、ブエノスアイレス州が24.4%、エントレリオス州が3.5%、そ の他が2.1%である。 99年上半期(1〜6月)の生乳生産量は、気象条件に恵まれたことから前年同期 比16%増の481万8千キロリットルと大幅な増加となった。農牧庁は、この増加が、 98年の春季(9〜11月)から顕著となった国内市場や輸出市場における価格下落傾 向に一層拍車をかけ、さらに生乳価格を低下させたとしている。 農牧庁が公表したサンタフェ州政府の統計によると、同州における乳業メーカ ーによる生乳1リットル当たりの生産者支払価格は、98年が17.8セント(約19円 :1ドル=108円)であったが、99年は前年を20%下回る14.3セント(約15円)と なった。 99年下半期(7〜12月)の生乳生産量は、前年同期比2.0%増の549万4千キロ リットルにとどまり、月別に見ると、11〜12月は前年同期を3.5%下回った。農牧 庁では、生産量の減少要因として、生乳価格の下落により穀類などの補助飼料の 利用が減少したこと、生乳価格が生産コストを下回った酪農経営体において離農 者が増加したこと、2000年1月まで続いたラニーニャ現象による干ばつにより、 酪農の主要生産地における牧草不足を招いたことを挙げている。酪農経営体数に ついて農牧庁では、98年の約2万戸(推定値)が、現在は、約1万8千〜1万8 千5百戸に減少しているとみている。 また、2000年第1四半期(1〜3月)の生乳生産量は、236万7千キロリットル と前年同期を7.4%下回った。しかし、農牧庁によると、今年の生乳生産量は、生 産量のピークに当たる春季における牧草の生育状態が良好となることが予想され ることなどから、前年比約2%の減少にとどまるものと見込んでおり、生乳価格 は、生乳生産量の減少などにより回復が見込まれるが、98年以前の水準には戻ら ないとみている。
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