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EU農相理事会、BSE危険部位除去提案を承認
【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 6月22日発】EU農相理事会において、6月 19日、BSE(牛海綿状脳症)対策としての全加盟国における特定危険部位(S RM:BSE感染源となる可能性が高いと見なされる特定部位)除去に係るEU委 員会提案が賛成多数で承認された。また、BSE非汚染国であると証明されない限 り、EU域外からの輸入食肉についても、同様な措置が義務付けられる予定である。 採決では、ドイツが棄権し、スペイン、フィンランド、ギリシャおよびオースト リアが反対した。特定多数決での採択には至らなかったが、反対多数でもなかった ため、EU委員会は同提案の実施資格を得ることとなった。 同提案は当初のものから若干修正されており、その概要は以下の通りである。 1 2000年10月1日以降、全加盟国は次のSRMを、と畜場または食肉処理場で除 去しなければならない。 ・12ヵ月齢を超える牛の頭がい(脳および眼球を含む)、扁桃、せき髄および 回腸 ・12ヵ月月齢を超えたまたは歯肉から永久切歯が生えている羊および山羊の頭 がい(脳および眼球を含む)、扁桃およびせき髄 ・すべての月齢の羊および山羊の脾臓 2 上記1に加え、イギリスおよびポルトガルでは、次のSRMを除去しなければ ならない。 ・6ヵ月月齢を超える牛のすべての頭部(舌を除く)、胸腺、脾臓、腸および せき髄 ・30ヵ月齢を超える牛のせき柱 3 上記1に掲げたSRM除去については、2001年4月1日以降、科学的リスクア セスメント(危害評価)においてBSE非汚染国と見なされない限り、EU域外 国(輸入食肉)にも適用される。 4 2000年12月31日から、BSE感染組織を血液中に混入させる危険のあると畜方 法は禁止される。 この農相理事会の結果について、バーンEU委員(公衆衛生/消費者保護担当) は「加盟国による多くの賛同が得られたことに喜んでいる。本措置(SRM除去) は食肉によるBSE感染の危険を無くし、消費者を新型クロイツフェルト・ヤコブ 病の危険から守る最良の方法である。4月に決定されたBSE監視・検査計画とと もに、堅実かつ総合的な施策の推進により食品安全の約束を果たしたい。」とコメ ントした。 一方、フランス農漁業省は、6月8日、農家で死亡または獣医師がと畜した2歳 以上の牛4万8千頭を対象に、BSE検査を本年中に実施するとの計画を明らかに した。予算額は2億7千1百万フラン(約41億円:1フラン=15円)である。 フランスにおける今年のBSE発生数は、6月19日現在21頭と報告されており、 昨年(31頭)を上回る可能性も高い。このような中、フランス政府は、来年からの EU全加盟国での検査実施に先行して、BSE検査を全国的に実施することとし、 BSEの早期撲滅に役立てたいとの意向である。 近年、BSEの発生数が増加している国が多いが、その要因については、検査方 法の改善による発見率の向上に伴う見かけ上のものとの考え方が一般的である。し かし、未知の感染源の存在または対策の不備を指摘する声もあり、BSE発生状況 の早急かつ的確な把握が重要な課題となっている。
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