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米、農家支援・作物保険改革の法案成立



【ワシントン駐在員 樋口 英俊 6月22日発】クリントン大統領は、6月20日、
市場価格の低迷に苦しむ農家への支援措置と農家へのセーフティネット強化を図る
ことを目的とした作物保険制度改革を含む農業リスク保護法案に署名した。農家支
援措置の実施については、3年連続で行われることになり、生産調整や不足払いの廃
止など、市場志向性をより強めた96年農業法の欠陥を改めて強調することとなった。

 総額153億ドル(約1兆6千億円:1ドル=105円)に及ぶ同法案のうち、農家支
援措置が71億ドル(約7千5百億円)、作物保険改革関連措置が82億ドル(約8千
6百億円)となっている。農家支援措置のうち、市場価格低迷による市場損失支払い
は約55億ドル(約5千8百億円)で、96年農業法で定められた農家直接固定支払制
度に基づく支払額の追加という形で所得補てんが実施される。対象となる生産者に
ついては、過去の作付け実績が要件とされるため、現在作付けを行っていない農家が
含まれること、また、所得補てんが不要とみられる大規模生産者も対象となること
から、クリントン政権などが強く批判している。このほかに、油糧種子、タバコ、
落花生などの生産者への直接支払い、農地保全に対する補助、各種調査研究の実施な
どが含まれている。

 畜産関係では、家畜衛生対策の強化により生産者の経済損失を軽減するという観
点から、豚生産者のオーエスキー病ワクチン接種コストや、牛結核撲滅対策への補助
が盛り込まれている。また、調査研究事項には、家畜排せつ物の減量化およびリサ
イクルを図るための技術や、家畜排せつ物の貯蔵システムおよび当該システムが機
能しなかったときの環境への影響に関する調査研究に対する補助も含まれている。

 農家のセーフティーネット強化を目的とした作物保険改革については、農家の参
加を促すため、作物保険の保険料に対する政府の補助率が、現在の13〜55%(補償
範囲により変動)から38〜67%へと引き上げられた。また、民間の調査研究部門へ
の助成を行い、複数年をカバーする保険の研究、気象データに関する共同研究などを
実施し、作物保険の充実を図ることとしている。

 一方、畜産関係のセーフティネットでは、今回初めて畜産部門(主として、肉牛、
羊、豚、山羊、家きん)のパイロット・プログラムが導入されることとなった。同
プログラムでは、畜産生産者にとって有効なリスク管理方法を評価することとされ
ており、その方法として先物・オプション取引や、価格または収入の変動に対する保
険などの活用が挙げられている。また、96年農業法でリスク管理の一環として導入
された酪農オプション・パイロット・プログラムの対象地域を300の郡まで拡大す
ることも盛り込まれている。


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