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2000年のブラジル鶏肉輸出は増加予測



【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 3月8日発】ブラジル鶏肉輸出業者協会
(ABEF)の報告によれば、99年の鶏肉輸出は、レアル切り下げによる輸出競
争力の高まり、アジアや欧州の需要回復、新規市場の開拓などにより、輸出量が前
年比25.8%増の77万6百トン(製品重量ベース)、輸出額(FOBベース)
が18.5%増の8億7千5百万ドル(963億円:1ドル=110)となった。

  しかし、99年の1トン当たりの平均輸出価格は、前年比6%安となり、特に、
第4四半期(10〜12月)の価格は、前年同期比19%安と大幅に落ち込んだ。
ABEFのフルラン会長によれば、第4四半期の価格低下の背景について、新規の
食肉輸出業者が仲介業者を通じ低価格で輸出したことなどが挙げられるとしている。

  ABEFによる99年の丸どり・部分肉別輸出概況は、以下の通りである。

(丸どり輸出)
 アルゼンチンが低廉なブラジル産鶏肉に対し、輸入数量規制を行ったこともあり、
メルコスル(南米南部共同市場)向け輸出は、前年比18%減の4万5千トンとな
った。しかし、サウジアラビア向けが30%増の20万8千トン、クウェート向け
が72%増の3万5千トンとなり、中東向け輸出は、39%増の31万5千トンと
なった。また、アジア向け輸出も22%増の1万9千トンとなったため、99年の
丸どり輸出量は、前年比16%増の42万2千トン、輸出額は、11%増となった。
しかし、1トン当たりの平均価格は、4.5%安となった。

(部分肉輸出)
  部分肉の主要な輸出先である日本向けと香港向けが、それぞれ前年比39%増の
9万7千トン、38%増の9万4千トンとなり、アジア向け輸出は、44%増の2
1万8千トンとなった。欧州向け輸出は、スペイン向けが9%減の1万9千トンと
なったものの、ドイツ向けが17%増の1万9千トン、オランダ向けが2.2倍の
1万7千トン、イギリス向けが77%増の1万6千トンとなった。このため、99
年の部分肉輸出量は、前年比41%増の34万8千トンとなったが、1トン当たりの平
均価格は10%安となり、輸出額は27%増にとどまった。

ブラジルの鶏肉輸出量と輸出額

区 分

98年

99年

増減率

丸どり

数量(トン)

365,134

422,340

15.7

金額(千ドル)

383,817

424,118

10.5

1トン当たり平均価格(ドル)

1,051

1,004

-4.5

部分肉

数量(トン)

247,343

348,211

40.8

金額(千ドル)

355,108

451,258

27.1

1トン当たり平均価格(ドル)

1,436

1,296

-9.7

合 計

数量(トン)

612,478

770,552

25.8

金額(千ドル)

738,925

875,377

18.5

1トン当たり平均価格(ドル)

1,206

1,136

-5.8

資料:ブラジル鶏肉輸出業者協会
注:四捨五入の関係で、必ずしも合計とは一致しない。

 2000年のブラジル鶏肉輸出予測について、ABEFのフルラン会長は、付加
価値の高い部分肉の輸出増加傾向、メキシコやカナダなどの新規市場開拓などによ
り、輸出量は99年を15%上回り、価格が5%回復すれば、輸出額は10億ドル
(1,100億円)に達すると予測している。一方、同国大手のセアラ社の副社長
は、トウモロコシ価格の上昇による鶏肉生産コスト高と国内鶏肉価格の低下により、
鶏肉生産の減少も予想され、鶏肉輸出は大きく増加しないとみている。


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