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好調なアルゼンチンのフィードロット産業
【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 11月1日発】アルゼンチンではここ数年で、 経営の悪化に伴い廃業したフィードロットも多い。しかし、90年代前半の目覚 しい増加は望めないものの、新たに経営を始めたりあるいは経営規模を拡張し たフィードロットが数の上で上回っている。 2000年のフィードロット由来のと畜頭数は、99年の約120万頭を上回り150 万頭に達する予測もある。これは、穀物の国際価格が安いこと、フィードロ ット仕上げの240kg前後の若齢雌牛が最近生体1s当たり1.05〜1.10ドル(約 114〜120円:1ドル=109円)の高値安定で取引されているからである。 素牛価格が安かった90年代前半(生体1s当たり65セント(約71円))は、 肥育牛1頭当たり約70ドル(約7,630円)の純利益が上がったといわれている。 現在、素牛は生体1s当たり約1ドル(約109円)で、肥育牛1頭当たり20〜 30ドル(約2,180〜3,270円)の純利益と推計されている(投下資本の3〜4% の月間利益回収率)。 良質の牧草確保が困難な子牛生産地帯の牧場経営者は、自ら牛の売買は行わ ない「ホテル業」と呼ばれる肥育委託業者に肥育素牛を預託することを以前紹 介した(海外駐在員情報第457号参照)。このホテル業由来の肥育牛のと畜頭数 は、フィードロット由来のそれの約半分を占める。 ホテル業に素牛を預託する生産者(牛の所有者)にかかる経費は、 1)1頭につき5ドル(約545円)の固定費 2)1頭につき12セント(約14円)の預り料 3)1トンにつき100〜110ドル(約10,900〜11,990円)の飼料費(肥育期間中、 約0.6トン消費)である。 フィードロット肥育では、140〜150kgの離乳時期の雌子牛を肥育素牛とし、放 牧後フィードロットで70〜100日間肥育し、90〜100kg増体させるのが収益性が最 も高い。その理由は、仕上がり体重が増えるほど単位増体量当たりのコストが増 加するからで、例えばホテル業に預けた場合の1kg増体量のコスト、すなわち前 述の1)から3)の費用の合計は、 @仕上げ体重240〜250kgを目指す場合:70セント(約76円) A仕上げ体重約300kgを目指す場合:75〜80セント(約82〜87円) B仕上げ体重約400kgを目指す場合:95〜100セント(約 104〜109円) といわれている。 最近の傾向として、母牛への負担を軽くすること、代償成長を利用し短期間の 肥育で最大の増体を得るなどのために早期離乳を取り入れた肥育方法が試されて いるが、フィードロットでの若齢仕上げの理由はこういうところにもある。 ただし、昨今のホテル業を含めたフィードロット経営は、90年代初めのように 投機の対象になるほど利幅が大きくなくなってきている。
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