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アルゼンチンで口蹄疫問題が発生(続報)
【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 9月7日発】アルゼンチン北部フォルモ サ州クロリンダ市の共同農場で不法輸入された牛10頭に端を発した同国の口蹄疫問 題(海外駐在員情報8月22日号)について、アルゼンチン農畜産品衛生事業団(セ ナサ)は、公式発表を逐次行っている。 現時点(8月25日)までで口蹄疫の抗体陽性反応が確認されたのは、 ・不法輸入された10頭(去勢牛)の牛のうちの4頭 ・上記10頭と接触が疑われた同農場で飼育されていた82頭(母牛52頭、去勢牛30頭) のうちの8頭 ・同農場から出荷された4頭の雄牛のうちの3頭 の計15頭のみで、臨床的な症状は呈していない。なお、全国的に行っている血清検 査の今までの結果はすべて陰性である。殺処分頭数は抗体陽性が確認された牛を含 め、牛3,563頭、山羊10頭、羊35頭、豚9頭である。不法輸入された抗体陽性牛4 頭のうち、1頭から口蹄疫の血清型A24ウイルス株の存在を示唆する結果が得られ、 現在確認のためパンアメリカン口蹄疫センターと英国パーブライト世界研究所にサ ンプルを送っている。報告では血清型A24の株は今までアルゼンチンには存在しな かったもので、他国からの移入が疑われるとしている。 アルゼンチン政府の対応は、米国やカナダに対する自主的な輸出中止措置や速や かな擬似患畜の殺処分など国際的には評価を受けている。しかし、アルゼンチンは、 まだ同国での口蹄疫の発生を認めておらず、国際獣疫事務局(OIE)はこの点に ついて確認を求めている。OIEは今のところアルゼンチンの衛生ステータスには 言及していない。 なお、現在アルゼンチン産の牛肉などに輸入禁止を含めた制限規制を実施してい る主な国は、米国、カナダ、台湾、ポーランド、チリ、パラグアイ、ウルグアイ、 グアテマラ、ベネズエラ、イスラエル、中国などで、EU諸国は特段の規制措置は とっていない。 アルゼンチン農牧水産食糧庁は、8月下旬に家畜の移動禁止期間を当初の21日間 からさらに15日間延長したが、こうした措置の生産者への説明は必ずしも十分では なく、既に口蹄疫はパンパ中心部に侵入しているという疑念を抱く生産者もいる。 8月下旬、ブラジルのリオグランデドスル州(現在ワクチン接種清浄地域で今年 の5月からワクチン接種を中止したばかり)で乳牛を中心に口蹄疫が発生し、政府 は事実を認めたうえ、現在大規模なまん延防止対策を行っている。今回は血清型O の株によるものと言われている。またボリビアでも口蹄疫が発生している。 こうした南米での一連の口蹄疫問題に対し、9月2日にメルコスル農相会議がブ ラジルのポルトアレグレで開催され、犯人探しに終始するのではなく、これ以上状 況を悪化させないために地域一団となった取り組みの必要性が確認された。
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