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イギリス、豚コレラ発生は8件に(続報)



【ブラッセル駐在員 島森 宏夫 9月7日発】イギリス農漁業食料省は9月6日、
8月8日の初発生(海外駐在員情報8月22日号参照)以来8件目の豚コレラ発生を
発表した。

 これまでの発生はすべてイングランド東部の3州(ノーフォーク州、サフォーク
州、エセックス州)に限局しており、EUでは現在、同3州からの豚生体、精液、
卵および受精卵の輸出を禁止している。なお、9月5日に開催されたEU常設獣医
委員会では、イギリスの豚コレラ防疫対策が効果的に運用されていると評価され、
エセックス州の移動制限を9月15日から解除する提案およびノーフォーク州オール
ド・バッケンハム地域(2件目の周辺地域)における豚の食肉用と畜を再開する提
案に対する賛成意見が出されている。両提案は近日中にEU委員会で決定される予
定である。

 また、豚コレラ発生地の周辺では、移動制限措置(半径3kmの防疫地域では4
週間以上移動禁止、半径10kmの監視地域では1週間移動禁止など)の長期化に伴
い、計画通り豚の売却ができないため、豚の飼育場での過密化による動物愛護問題
が懸念されている。すなわち、行動の自由の制限、寝場所の縮小、飼料の奪い合い、
攻撃性の増加やけが・疾病発生リスクが高くなるなどの問題である。

 このため、イギリス農漁業食料省は8月29日、動物愛護の観点からの豚と畜制度
を開始した。同制度の対象は、移動制限が2週間以上にわたり、過密による動物愛
護問題が発生し、ほかの解決手段がない農家である。介入機関(インターベンショ
ン・ボード)が集荷からと畜までの費用を負担する。8月31日に決定された農家へ
の補償金は、(1群での平均体重で)60kgを超える豚1頭当たり一律35ポンド
(約5,390円:1ポンド=154円)、これより小さい豚では1頭一律10ポンド(約1,
540円)となっている。

 初発生から現在までのイギリス農漁業食料省およびEU委員会の動きは次の通り。

8月8日
 イギリスにおける14年ぶりの豚コレラ発生を発表(サフォーク州)

8月9日
 2〜3件目発表(エセックス州、ノーフォーク州)

8月12日
 4〜5件目発表(サフォーク州、ノーフォーク州)

8月14日
 EU委員会、イングランドからの豚生体、精液の輸出禁止
(委員会決定2000/515/EC)

8月24日
 EU委員会、上記決定を緩和し、ノーフォーク州、サフォーク州、エセックス州
 からの豚生体、精液、卵および受精卵の輸出禁止に変更
(委員会決定2000/528/EC)

8月29日
 動物愛護の観点から、豚と畜制度を開始(31日、農家への補償金を決定)

9月4日
 6件目発表(ノーフォーク州)

9月5日
 7件目発表(サフォーク州)
 EU常設獣医委員会で規制緩和提案を検討

9月6日
 8件目発表(サフォーク州)


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