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肉牛フィードロット、トップ20を発表(豪州)



【シドニー駐在員 幸田 太 9月4日発】豪州食肉家畜生産者事業団(MLA)
はこのほど、月刊誌「フィードバック」において、年間出荷頭数と収容能力を基準
に、99年フィードロットのトップ20を発表した。
 
 これによると、第1位は米国資本のオーストラリア・ミート・ホールディングス
(AMH)社で、4施設からの出荷頭数が約16万6千頭に上り、93年以来の1位の
座を維持した。同2位は農業総合会社のエルダース社で、3施設からの出荷頭数が
13万8千頭であった。

 日系資本では、オーキィ・ホールディングス社が単一施設としては最大規模の許
可頭数7万5千頭で総合ランキング3位、またロックデールミート社が許可頭数5
万3千頭で同4位となった。

 許可頭数で見るとトップ20で豪州フィードロット全体の57%を占めた。

 同種の調査が実施された93年と98年を比較すると、トップ20の顔ぶれが8社も変
わっており、日本の牛肉輸入自由化に伴う業界の再編が、豪州のフィードロット業
界に大きな変動をもたらしたことがうかがえる。しかし、今回は、トップ20の中で
順位の変動はあったものの、新規ランクインは見られなかった。 

 ただし、この調査では、施設の許可頭数や地域産業への貢献などが重視されラン
ク付けされる。したがって、許可頭数に余裕のある別会社のフィードロットに自社
の牛を出荷まで一定期間預ける契約形態(預託牛)のものについては、預託先の別
会社の出荷頭数としてカウントされているため、肉牛所有頭数に基づく順位は、こ
れとは若干異なる可能性があることに留意する必要があろう。

 また、輸出市場への依存度は急激ではないが着実に低下している。98年の調査で
はトップ20社の出荷重量に占める国内向けの割合は31%だったが、99年には33%に
増加し、国内市場への供給を中心に行う社も出現した。豪州フィードロット協会
(ALFA)によると、ミート・スタンダード・オーストラリア(MSA)の消費
者への普及が、放牧により生産された牛肉志向の根強い豪州でも、穀物肥育により
生産された牛肉の浸透と消費を後押しする結果となっているとのことであった。

 さらに、輸出市場からの安全性や品質に対する要求も、消費者の声を背景に年々
厳しさを増している。今回トップ20にランクインしたフィードロットの中には、E
Uの輸入条件を満たすため、全国個体識別制度(NLIS)を採用し、個体の追跡
可能性(トレーサビリティ)の確保を図っている社や、オズ・ミートの全国フィー
ドロット認定制度(NFAS)に準拠し、食品としての安全性を確立する努力を、
肥育牛の農場段階でも積極的に行っている社も多い。また、地域の環境問題に対応
し、国際的な環境基準であるISO14001を取得する社も現れている。
99
ランク
98
ランク
会社名 施設数 許可頭数
(頭)
出荷頭数
(頭/年)
出荷重量
(トン/年)
1 1 Australian Meat Holdings Pty Ltd 4 96,500 165,747 59,495
2 2 Elders Limited 3 57,500 138,246 40,076
3 4 Oakey Holdings Pty Ltd 1 75,000 79,807 30,832
4 3 Rockdale Beef Pty Ltd 1 53,333 80,000 29,425
5 6 Rangers Valley Cattle Station Pty Ltd 1 24,000 22,500 9,158
6 5 非公開 1 14,000 非公開 非公開
7 7 ICM Farm Products Pty Ltd 1 20,000 36,500 8,103
8 12 Australia Country Choice Pty Ltd 2 11,000 53,330 11,519
9 9 Nolan Meats 1 5,000 58,000 13,340
10 10 Sandalwood Feedlot 1 18,000 18,758 6,749

資料:MLA「FEEDBACK」2000年7月号
 注:出荷重量は推定枝肉重量




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