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脱脂粉乳の2000年後期枠を公表(タイ)



【シンガポール駐在員 外山 高士 9月14日発】タイ農業協同組合省はこの
ほど、脱脂粉乳の2000年後期(9〜12月)における関税割当枠を公表した。これに
よると、乳飲料製造業者に3,631トン、コンデンスミルク製造業者に14,939トン、乳
製品を原料とする食品製造業者に3,485トン、脱脂粉乳輸入業者に925トンとなって
おり、合計で22,980トンとなっている。

 タイの脱脂粉乳は、ガット・ウルグアイラウンド(UR)合意に基づき、95年か
ら関税割当枠を設けて輸入が行われている。この割当枠では、95年の4万5,000トン
から2004年には5万5,000トンまで、毎年約1,111トンずつ輸入枠を拡大することと
しており、割当枠内の関税は20%、枠外の関税は95年の237.6%から2004年には216.0
%に引き下げることとなっている。

 一方、実際の関税割当枠は、拡大する乳製品の消費などにより、合意水準のみで
は国内需要を満たしきれなくなっていることから、これを上回った配分がなされて
いる。99年においても、合意水準4万9,444トンに対して、5万5,251トンが配分さ
れている。しかし、枠内での脱脂粉乳の輸入量の増加に伴い、主にUHT(日本の
LLに相当)乳飲料を製造している製造業者などに課せられている、1リットル当
たり12.5バーツ(約33.1円:1バーツ=2.65円)での国産生乳の買い取り義務につ
いて、買い渋りが見られるようになり、その対策が課題となっている。

 今回の配分では、これらの状況が考慮された政策的な配分となっており、国内の
酪農家への配慮が見られている。つまり、2000年前期(1〜8月)に21の製造業者
に対して5,700トンの配分を行っていた乳製品製造業者に対しては、タイ酪農業協同
組合の1者に対してのみ配分され、その量も前期より約2千トン少ない3,631トンと
された。これに対して、輸入脱脂粉乳を用いて、東南アジア域内に輸出する製品を
製造しているコンデンスミルク食品製造業者には、前期の12,650トンに対して約2
千トン多い14,939トンとされた。

 また、乳飲料製造業者から出されていた、乳製品を材料とする食品製造業者がほ
とんど国産生乳を使用していないという問題については、既に1日当たり8〜10ト
ンの生乳を使用しているヨーグルト製造業者や、2001年までに国産生乳の利用を可
能とするため工場の改修を進めている企業があるものの、国産生乳の使用義務をこ
れら業者にも拡大して実施することとしている。これにより、今回の配分も前期と
追加配分合計の6,611トンから約3千トン少ない3,485トンとなっている。

 しかし、今回の配分22,980トンと前期分25,600トンを合わせた今年の関税割当枠
は48,866トンと、UR合意水準である50,666トンまで、まだ1,800トンの保留分があ
ることから、これをめぐる各業界の動向が、今後注目されている。


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