ALIC/WEEKLY
【ブエノスアイレス駐在員 浅木 仁志 3月28日】農牧水産食糧庁の統計では、 アルゼンチンの2000年の牛と畜頭数は1,222万頭(前年比0.7%増)、枝肉生産量は 263万トン(前年比0.9%減)と推定されている。生産量の減少は、平均と体重量が 99年の223kgから2000年に220kgに落ちたためとされる。 2000年の牛肉輸出量は約35万トン(枝肉ベース)で、前年(34万2千トン)比2 %増と推定されている。 2000年8月以降、口蹄疫問題による米国、カナダ、台湾市場の一時閉鎖、同年10 月以降の欧州での牛海綿状脳症(BSE)問題でEUの牛肉消費が激減、EU向け 高級肉ヒルトン枠へ影響がでるなどアルゼンチンの牛肉輸出には厳しい環境だった。 しかし2000年の輸出量は前年比であまり変化はなかった。 (EU向け高級肉ヒルトン枠の輸出) 農畜産品衛生事業団(セナサ)の貿易統計で輸出量、輸出額、輸出単価(以下製 品ベース、FOB価格)を見ると99年は27,611トン、2億1,578万ドル(約269億7, 250万円:1ドル=125円)、7.8ドル(約975円)/s。2000年は26,034トン、1億8, 849万ドル(約235億6,125万円)、7.2ドル(約900円)/sで量的に大きな変化はな かった。これはアルゼンチンのヒルトン枠の7〜8割を輸入するドイツがBSE問 題による需給ひっ迫を避けるため99年を上回って輸入したこと、オランダは輸入量 を半減したが、その他の輸入国が99年を上回って輸入したことなどによる。しかし、 輸出価格の低下は避けられず、輸出単価は2000年11月が7.2ドル(約900円)/s、 12月が6.2ドル(約775円)/sと前年比でそれぞれ17%安、2001年1月が5.3ドル (約663円)/s、2月が4.9ドル(約663円)/sドルと下落は著しい。 (一般生鮮肉の輸出) セナサの貿易統計で輸出量、輸出額、輸出単価を見ると、99年は13万2,271トン、 3億1,450万ドル(約393億1,250万円)、2.4ドル(約300円)/s。2000年は13万3, 896トン、3億1,448万ドル(約393億1千万円)、2.3ドル(約288円)/sで量・金 額的に変化はない。 2000年の特徴は、米国、カナダ、台湾が8月以降の輸入量を大幅に減らしたが、 7月までの輸入量が多かったため米国を除き前年並かそれ以上の輸入量だった。イ スラエル、ブラジル、ドイツは8月以降もペースは落ちず、前年並かそれ以上の輸 入量を保った。チリは8月以降徐々に輸入を増やしたが前年同期の輸入量に追いつ かずトータルで減少した。ロシアとアルジェリアが新規市場として約1万トン弱輸 入したことはアルゼンチンの輸出量の増加につながった。 セナサによると3月に入り口蹄疫の発生件数は増加を続け、NAFTA、台湾、 チリに続きEU、ロシア市場を失い主要な輸出市場がすべて閉鎖されたアルゼンチ ンの2001年の輸出見通しは厳しいものとなる。
元のページに戻る