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【シドニー駐在員 幸田 太 3月29日発】豪州連邦議会上院は3月27日、豚肉 新団体の設立に関するオーストラリア・ポーク・リミテッド(APL:Australian Pork Limited)法案を可決した。これにより4月から、豪州豚肉業界の主要3団体 が統合され、政策提言、生産・流通管理、研究開発を行う新団体APLがスタート することが正式に決定された。APLには政府をはじめ各方面から積極的な活動が 期待されている。 今回統合されるのは、主に議会へのロビー活動を行っていた生産者団体の豪州豚 肉生産者協議会(PCA)、主に豚肉の消費拡大事業を行っていた特殊法人:豪州 豚肉公社(APC)、主に調査研究事業を行っていた特殊法人:豚肉研究開発公社 (PRDC)の3団体である。当該3団体は、既に昨年3月末のPCA総会におい て新団体の結成に原則的に合意し、規程整備などの調整作業を行ってきた。 独自に事業展開していた3団体を統合してAPLを結成することが要請された背 景には、98〜99年にかけて、国内マーケットを中心にした自己完結型の産業であっ た豪州豚肉業界がカナダやデンマークなどからの安価な加工用豚肉に太刀打ちでき ず、大打撃を被った経緯があった。 今後、APLは、@豚肉サプライチェーンの管理運営を通じて業界の発展を図る とともにその収益性と安定性を確保、A業界の国際競争力を強化、B輸出市場への マーケティングの促進、C業界への専門知識の提供の4項目を目的とし、豪州豚肉 産業を全体的に掌握する組識となる。 トラス農相は、APL法案の可決に当たり、APLは不安定な国際豚肉市場にお いて効率性や順応性に優れた組織構造で挑戦し、また、国内豚肉産業の団結にも貢 献できると自信と期待を述べた。 現在、豪州の豚肉輸入はデンマーク(1万7千トン)とカナダ(1万8千トン) の両国がほぼ年間輸入量(3万7千トン)の94%を占めている。しかし、イギリス で発生した口蹄疫の対策措置として2月28日からEU産豚肉の輸入が禁止されたこ とが国内の豚肉供給に大きな影響を及ぼしており、国内豚肉相場は上昇局面にある。 また、輸出をめぐる状況については、豪州の豚肉生産の2割、年間と畜頭数48万 頭のバンジミート社(ニューサウスウェールズ州)が昨年、と畜頭数を100万頭に 拡大する許可を得たのを機に輸出拡大を念頭に置いた生産、処理施設の整備を開始 した。また、今年はクィンズランド州で日系企業が地元企業とジョイントベンチャ ーで既存養豚農場の規模拡大を開始するなど、今後の輸出拡大をにらんだ国内の基 盤整備も活発化しつつある。 今、世界の食肉需給状況が相次ぐ家畜疾病の発生で大きく揺れている中、豪州の 安全な環境が輸入国から注目されている。豪州豚肉産業が今回の団体再編によりど の程度まで国際競争力を付けられるかが今後の課題となろう。
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