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【ワシントン駐在員 渡辺 裕一郎 3月28日発】牛海綿状脳症(BSE)につ いての正しい理解を促進し、米国産牛肉に対する消費者の信頼を高めるため、アメ リカ食肉協会(AMI)主催のセミナーが3月23日、ワシントンDCで開催された。 会場には、生産から流通に至る業界関係者を中心とした200名近くの参加者が集い、 学識経験者や政府関係者などからのBSEをめぐる内外の最新事情に関する報告に、 皆熱心に耳を傾けていた。 最初に、スイス政府の伝達性海綿状脳症(TSE)プロジェクトの代表から、欧 州のBSE事情について、@イギリスでは、肉骨粉などの反すう動物への給与禁止 措置などの実施により、92年をピークに発生頭数が激減してきているが、近年、イ ギリス以外の欧州諸国に発生が広がっていること、Aサーベイランスの徹底や、食 用からの特定危険部位(SRM)の除去といった対策の強化により、拡大防止に努 めていることなどが報告された。 次に演壇に立ったメリーランド大学のヒューストン教授(米国におけるBSEの リスク・アセスメントの第一人者)からは、@イギリスからの生体牛や肉骨粉等の 輸入は少なく、また、イギリスに比べても、肉骨粉などの牛への給与量は少ないこ となどから、米国内でBSEの発生可能性は極めて低いという、90年代前半に実施 されたアセスメント結果や、A97年以降も、欧州からの反すう動物の輸入禁止措置 や肉骨粉等の反すう家畜への給与禁止措置などの導入により、リスク因子はさらに 低減されてきていることなどが発表された。また、同教授は、米国と欧州との違い について、@欧州の「BSEは今後発生させない」との前提に対し、米国では「国 内でもBSEの発生は起こり得る」との前提で、能動的(proactive)に発生防止 策を講じていること、A積極的な情報の開示・共有に努めていること、B業界が積 極的に関与していることなどを挙げ、最後に、「米国は決して自己満足すべきでは ない」と念押しした。 米農務省(USDA)および保健社会福祉省食品医薬品局(FDA)からは、こ れまでに政府が講じてきたBSEの侵入・発生防止策の概要が報告された。特に、 USDAからは、BSEと同じく欧州を中心に猛威を振るっている口蹄疫について、 一般国民に誤解や混乱が見られるため、その違いについての正しい知識の提供が重 要である旨が述べられ、また、FDAからは、ほ乳動物由来の肉骨粉等の反すう動 物への給与禁止措置に関連した、レンダリングおよび飼料工場における措置の順守 状況について報告があった。 関係業界を代表しては、全国レンダリング協会(NRA)、アメリカ飼料工業会 (AFIA)、AMI、全国肉牛生産者・牛肉協会(NCBA)から、各業界にお けるBSE対策への取り組み状況が報告され、また、これら業界団体の協力の下、 FDAによる肉骨粉等の給与禁止措置に従ったものである旨を証明する自主プログ ラムを4月1日からスタートさせる予定であることも明らかにされた。さらに、小 売やレストラン業界などからは、米国にはBSEの防御策(firewall)が幾重にも 講じられており、米国産食肉は世界一安全であることを、消費者やマスコミなどに アピールすべきであるとの提案がなされた。 会議は、今後も、@米国はBSEフリーであることなど、事実に基づく情報提供 により、国民、消費者の信頼を得ることが重要であること、A決して現状に安穏と することなく、関係者の協力によって、各種措置の100%順守を徹底していく必要 があることなどが改めて確認され、閉会した。
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