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【ブエノスアイレス駐在員 玉井 明雄 2月22日発】ブラジル農務省は近年、 同国における口蹄疫撲滅計画を強力に推し進めているが、2000年12月28 日付け省令第582-A号で新たな口蹄疫ワクチン接種清浄地域を発表して いる。この省令では、23ヵ月以上にわたり口蹄疫発生の記録がないとし て、リオデジャネイロ州、エスピリトサント州、バイア州、セルジッペ 州、トカンチンス州、マットグロッソドスル州の全域、また、ミナスジ ェライス州の東部、マットグロッソ州などの一部の地域に設けられてい た準清浄地域(非清浄地域と清浄地域を分離するための一種の緩衝地帯) をワクチン接種清浄地域とすると規定した。この省令はまた、バイア州 およびトカンチンス州の一部の地域に準清浄地域を設けることなどを取 り決めている。 国際的な衛生ステータスについては、今年5月の国際獣疫事務局(O IE)総会で認定の是非が決定される。 ブラジルは、これまでのOIE総会で98年に南部2州(リオグランデ ドスル州、サンタカタリナ州)が、2000年に南部・中西部の1連邦区と 5州(ブラジリア連邦区、ゴイアス州、サンパウロ州、マットグロッソ 州、ミナスジェライス州、パラナ州)がワクチン接種清浄地域として認 定された。ただし、リオグランデドスル州は昨年8月の口蹄疫発生によ り、同衛生ステータスは留保されている。 ブラジル農務省の衛生当局によると、同国では、非清浄地域(準清浄 地域を含む)から清浄地域への生きた牛や骨付き牛肉の移動は原則的に 禁止されている。しかし、2000年12月28日にワクチン接種清浄地域が拡 大されたことから、ブラジル農務省は今年2月12日、同地域から、99年 末にワクチン接種清浄地域として発表された南部・中西部の1連邦区と 5州(一部の地域を除く。)への、直ちにと畜される牛と骨付き牛肉の 移動を条件付きで認める決定を下した。骨付き牛肉については、連邦検 査が実施されている食肉処理加工施設由来のものに限られる。なお、骨 なし牛肉については、従来から移動が認められている。 こうした措置の実施による国内市場への影響として、これまで非清浄 地域であった州では、消費市場への販路拡大から生体牛・牛肉価格の上 昇が期待される一方、大消費地を抱えるサンパウロ州などでは、供給増 から価格の低下が予想されている。また、海外市場における影響として、 中期的にはブラジル産牛肉の輸出拡大につながるものとみられている。 ブラジル農務省プラチニデモラエス農相によると、同国では95年から 2000年の間に、口蹄疫撲滅費として官民合わせ9億4,300万ドル(約1,1 03億円:1ドル=117円)もの資金が投じられたとされ、今後は、さらに ワクチン接種清浄地域を北東部および北部へと拡大し、2005年までに同 国が口蹄疫清浄国として認定されることを目指しているとしている。
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