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ミンダナオ島は食肉の移出余力を維持(フィリピン)



【シンガポール駐在員 小林 誠 2月22日発】2月20日、フィリピンで開
催されたミンダナオ食料会議で発表された調査報告によれば、ミンダナオ島
の豚肉および鶏肉の需給は、少なくとも今後3年間は移出余力を維持できる
としている。同島は、これまでもフィリピン国内における豚肉・鶏肉の供給
基地となってきており、今後もしばらくはこの地位が保たれる見込みである。

 ミンダナオ島では、古くから島内需要を上回る豚肉と鶏肉の生産が行われ
てきた。現在、同島では飼料用トウモロコシの生産も行われていることから、
国内の他の島に比べて飼料費も安いという利点がある。飼料用トウモロコシ
を島外に移出する場合、運送コストが高く、競争力がなくなるため、島内で
消費せざるを得ないという事情もある。

 同島の鶏肉生産は、今後3年間は、年間12万6千トンから15万トン程度で推
移する見込みである。これに対し、島内の需要量は12万2千トンから14万9
千トンの間で推移すると見込まれており、2001年についてみると、生産量の
約3%程度に相当する約4,300トン、羽数に換算して400万羽が供給過剰とな
る見込みである。なお、鶏肉は、同島の南部に位置するダバオ市周辺の4地
域で島内全体の約3分の1が生産されている。

 現在、ミンダナオ島民の年間1人当たりの鶏肉消費量は7s以下であり、
フィリピン全体の平均が8sに迫っているのに比べると隔たりがある。調査
報告では、ミンダナオ島民の鶏肉消費量が、今後、全国平均に近づくと仮定
すると、毎年5%以上の増産を達成しない限り、今後5年以内に供給不足に
陥る可能性があるとしている。

 豚肉については、同島は国内生産量の約29%に相当する年間約35万トンを
生産しており、90年代中盤以降余剰が増え続けている。同島の豚飼養頭数は
約320万頭であり、肉用鶏と同様、約3分の1は同島南部のダバオ市周辺で
飼養されている。豚肉の島内需要量は、20万トンから25万トン程度と見込ま
れており、2001年の供給過剰分は、約16万トンに上る見込みである。同島民
の年間1人当たりの豚肉消費量は11.8sであり、これも全国平均の15.9sに比
べ、かなり低いものとなっている。

 また、同島の住民の少なくとも3分の1は、モロ族を中心としたイスラム
教徒であり、宗教上の理由により豚肉を消費しないことに加え、島内に余剰
分を加工する施設が整っていないことも、このような大量の供給過剰分を処
理する上での問題点として残されている。

 アロヨ政権になって新たに着任したモンテメーヤー農業長官は最近、2000
年の農業部門を総括して、養鶏部門が6.1%、家畜部門が2.6%の成長率を示
したことは、93〜98年までの6年間の農業全体の年平均成長率が1.3%にすぎ
なかったことに比べて大きな進歩であり、食料安全保障政策の成果であると
している。食料自給率の向上が課題となっているフィリピンにとって、大消
費地からは離れているものの、大きな面積を有し、潜在力があるとみられる
ミンダナオ島での畜産振興が、今後の課題となろう。


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